水道の見えないリスク、次々と露呈…資金なく「料金値上げも議論を」

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下地毅、島脇健史、高室杏子、吉沢英将 市野塊
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 暮らしを支える水道をめぐる事故が相次いでいる。和歌山県で川の上を通る水管橋が崩落し、供給がストップ。千葉県では地震で送水管から水が噴出した。地中に埋まる水道管も含めて全国多くの場所で漏水が起きている。背景には古い水道管の更新や耐震化がなかなか進んでいないことがある。

送水ルートの複線化「ばくだいな予算」

 和歌山市紀の川に架かる長さ約546メートルの六十谷(むそた)水管橋が崩れ落ちたのは、今月3日午後だった。1975年に建設された川の南の浄水場と市北部をつなぐ上水道で、直径約90センチの水道管が2本通っていた。

 市は耐震化と落橋防止の工事を2016年3月に終えていたが、事故後、橋のアーチから水管をつっている鋼管製の「つり材」4カ所が腐食し、破断しているのが見つかった。

 破断はいずれも部材の連結部で、潮風の塩分や雨水、鳥のフンなどがたまりやすいことが、腐食を早めたと推測されるという。今年5月に橋上を歩いて点検した時も、通路から高さ3・5メートルの位置にあり、気づかなかった。

 影響は大きかった。3日夜から、川の北側の約6万世帯(約13万8千人)で断水し、仮復旧工事で解消されるまでほぼ1週間続いた。市北部の大半が六十谷水管橋を経る送水だけに頼っていたためだ。かつては川の北にも浄水場はあったが、水需要が減ったとして07年に休止した。

 送水ルートの複線化は懸案だった。市が09年にまとめた「水道ビジョン」は、北部への送水を六十谷水管橋に頼っている危うさをくりかえし指摘。水管橋の老朽化と耐震性の低下に触れ、複線化を図っていくと明記していた。

 ただ、「ばくだいな予算をとり期間も長期になる。検討していたが早急に取りかかるまでには至らなかった」(瀬崎典夫・公営企業管理者)。市企業局によると、水道料金収入はこの20年でほぼ4分の3に減っており、事業費と人件費を削っても財務状況は悪化が進む。仮復旧はしたものの、本復旧や複線化の課題は残る。いずれも巨額のカネが必要だ。尾花正啓市長は「複雑な検討になる」と語る。

 和歌山市での水管橋破損を受け、厚生労働省は8日、全国の水道事業者などに通知を出した。保有する水管橋に損傷や腐食がないか点検し、必要に応じて修繕するよう求めた。

 東京大大学院工学系研究科の滝沢智教授(都市水システム)は「人口減で水道料金収入が減る一方、管路のループ化(複線化)には数百億円かかるケースもあり、地方では実現できていない地域もある。まずは重要な管路を優先的に更新し、財源は市民に広く情報を開示して水道料金の値上げを含めて議論すべきではないか」と話している。

 7日夜に首都圏で震度5強の揺れを観測した地震では、千葉県市原市の養老川にかかる水管橋の送水管から一時、激しく水が噴き出した。管の継ぎ目部分で止水ゴムを固定するボルト6本が経年劣化で腐食しており、うち1本が地震で破断したためだ。

 県企業局給水課によると、水管橋は1980年に整備された。送水管は直径80センチの金属製で、長さは約150メートル。管の耐用年数は48年間あるといい、今回を除いて漏水を起こしたことはなかったという。

 県は業者に委託し、ひびや割…

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