「出たら恩返しする!」 少年院と4歳長男の運動会で感じた行事の力
■こばゆりの今日も走快!
運動会の季節です。
私は、2015年に現役を引退してから、ご縁があって地域にある少年院で月に2度、数学を教えています。
その少年院にも運動会があります。「ふれあいDay(デー)」と呼ばれ、普段は面会でしか会うことのできない家族が多く訪れます。
何をするかは自分たちで決めます。
お母さんをおぶってのリレー、親子で風船を挟んで背中合わせになっての競走など、盛り上がるよう工夫を凝らします。
コロナ禍のため、ここ2年は運動会に行けなかったのですが、以前は私も、親がいなかったり、来られなかったりした子どもとペアになり、張り切って参加していました。
たとえ家族同士でも、最初はどこかよそよそしい。それが手を取り合って楽しむうちに、打ち解けていきます。
こばゆりの今日も走快!
陸上の中長距離選手として活躍し、五輪の舞台にも立った小林祐梨子さん(32)のコラムを随時、お届けします。元アスリートとして、女性として、母として、現役時代の走り同様、歯切れよく語ります。
最後は、的当てなどのゲームをやります。当てたカードの裏に記された「将来の夢」や「謝りたいこと」などのお題に合わせて、自分の思いを発表するのです。
「おやじー! 迷惑かけてごめん!」
「ここを出たら、しっかり働いて恩返しするから!」
「お母さん、大好きです!」
教室で過ごしているだけでは、知ることのない子どもたちの思いに触れ、いつも涙が止まらなくなってしまいます。
少年院にいる子どもにとっても、素直な思いを声に出して誰かに伝えるなんて、普段はなかなか出来ないことでしょう。
運動会の力だと思います。
もっと幼い子にも運動会はやはり特別な行事のようです。
先日、保育園に通う4歳の長男にとって、初めての運動会がありました。
長男は「かけっこで1番にな…
【提案】 運動会をスポーツに置き換え、「スポーツの力」などと言ってしまうつもりはありません。 ただ、おそらくどなたにも経験があるように、体を動かすことは気持ちを少なからず解放してくれます。 さらにこの原稿を読んで、思わずうなずいてし