「保育現場には問題が山積みです」「現場の実態を一番知っている現場が声をあげなくて、誰が問題を指摘するのか――。今まで溜(た)まっていた澱(おり)を吐き出すような気持ちでいま、こうして寄稿しています」
東京都内の認可保育園で保育士として働く菊池刀子さん(30)=ペンネーム=は7月、こんな文章をウェブメディアで発表した。現場で働いて感じる疑問や葛藤をSNSで発信していたところ、その内容がサイトの編集担当者の目にとまったのがきっかけだった。
一日に何度も消毒作業、ため息
菊池さんは今、2歳児クラスの担任をしている。園での一日は消毒液の準備をすることから。靴箱、床、手すり、ドアノブ、おもちゃ、食器……。ありとあらゆる「子どもの手が触れそうなところ」は、一日に何度も消毒する。作業に費やす時間や工程の多さに、思わずため息が出る。
新型コロナウイルスの感染拡…