途上国援助の1960億円、使われぬままJICAに残る 「異常だ」

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榊原謙
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 途上国の開発を助ける政府の事業「無償資金協力」として支出された計1960億円が使われないまま、実施機関の国際協力機構(JICA)にとどまっていることが20日わかった。相手国の事情が大きいが、なかには支出の決定から10年以上「塩漬け」の資金もある。財務省はJICAを所管する外務省に対応を求める。

 財務省が20日の有識者会議「財政制度等審議会」で明らかにした。無償資金協力は、政府の途上国援助(ODA)の一種で、インフラ整備や食料援助などに無償で資金を提供する。財務省が2008年度以降の案件を調べたところ、現地の工事が進まないなどの理由から310件の事業でJICAがお金を出せていなかった。

 今回判明した滞留額は、政府が20年度に無償資金協力分として支出した1628億円を上回る規模だ。財務省幹部は「それだけのお金があればもっと他の事業に使うことができたとも言え、予算の非効率を招いている」と問題視する。

 無償資金協力の事業が、政情不安や災害などで工期の遅れを避けられないことはある。だが、滞留額の4割弱は3年以上遅れている案件の資金。中東・イエメンの給水整備事業のように支援決定から10年以上たっても完了できていないものもある。相手国と計画づくりの段階で事業遅延時の扱いをしっかりと決めていない課題があるという。

 20日の審議会では委員から「放置できない異常な状況」「今後は例年通りの予算措置はさけるべきだ」などの声が相次いだ。審議会委員の土居丈朗・慶大教授は記者会見で「(資金の滞留の)度が過ぎているところはある。一定期間を経て、なお留め置かれている資金は、国庫返納を含めて調整してほしい」と話した。

 JICAは取材に対し、「無償資金協力は国家間の約束で取り決めており、JICAの判断では資金の扱いをどうすることもできない」(広報)としている。(榊原謙)

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