将来の「家族」への不安、どうしたら? 多様さ知る「一日留学」も

有料会員記事withU30

藤野隆晃
【動画】No Youth No Japan × 朝日新聞 「with U30」若者と衆院選
[PR]

 仕事と家庭の両立は。家族内の家事の分担は。出産はいつ――。人生に大きな影響を与える「家族」に、漠然とした将来不安を感じる若者も多い。そんな中、様々な家族と直接交わることで具体的なイメージを抱いてもらおうと、家族への「留学」という仕組みを作った人がいる。記者(27)が大学3年生の猪又玲衣さん(21)、片野直人さん(20)と共に話を聞いた。

 進路や仕事について考える教育はあるのに、家族や子育てについて体験談を聞いて将来をイメージする機会が少ないのはなぜ――。

 新居日南恵(におりひなえ)さん(27)は大学生のころ、そんな疑問を抱いていたという。子どもに大きな影響を与える家族。色々なあり方を知った上で家族を作り上げられたら、子どもや社会のためになるのでは。そう考え、若者が子育て中の家庭を訪ね、家族や子育てについて考える機会をつくる「家族留学」を2015年から始めた。現在は、家族留学を運営する団体「manma」の理事などを務める。

 家族留学には、若い世代を中心にこれまでで延べ400人以上が参加した。参加者は実際の家庭を訪れ、共に一日を過ごす。「次の世代に子育てのリアルを感じてほしい」「同じ苦労はしてほしくない」などと取り組みに賛同する家庭が受け入れ、30~40代を中心に、500近い家庭が受け入れてきた。

 新居さん自身も様々な家族と知り合った。「子どもが生まれた後にとっぴな挑戦はできないだろう」と思っていたが、「出産後に医師の道を目指し始めた妻と、支える夫」という家族にも出会った。「望めばいくらでも家族の形はあるのだと知った」。家族留学を始めて6年。当初は「留学生」の9割が女性だったが、最近は男性が3~4割と増えている。

 ただ、新居さんは「仕事と家庭の両立は不可能だと思う」といった声を大学生から聞くことも多いという。片野さんはうなずきながら「夢は、かっこいいお父さんになること。ただ、外(仕事)でも活躍しようと考えると、子育てと仕事の両立への不安があります」。猪又さんは「自分が仮に育休を取ったとしても、両立できるか不安です」。そろって「不安」を口にした。

 「たしかに」と相づちをうつ新居さん。「数が必要なんでしょうね。それが社会的なスタンダードになって、望む人がみんな選べるくらいになるまでに、時間がかかるのかも」

 新居さんは、当事者となる若い世代の声が、政策に届きにくいと感じている。内閣府が主催する若者の結婚や子育てについての検討会に参加したこともあるが、メンバーのうち20代や30代はごくわずか。「当事者不在では」と疑問を抱くこともあった。国全体で子育て世代や将来世代に投資するという、強いメッセージが必要だと考えている。

 様々な家族と接する中で、家族の多様性を知ったという新居さん。「安心して子どもを生める社会になるために、家族の形を押し込めるような形で子育てや家族形成の支援をするのではなく、多様な形を後押ししてほしい」。多様性という観点から、「衆院選では夫婦別姓や同性婚をどうするかという議論もしてほしい」と語った。

     ◇…

この記事は有料会員記事です。残り1531文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
withU30

withU30

これからの時代を生きるU30世代が、社会に対して感じているモヤモヤ。政治や選挙にどんな思いを抱き、何を願っているのか、一緒に考えます。[記事一覧へ]