コロナ禍が現代文明の弱点浮き彫りに 五箇公一さんらが語る

コーディネーター・神田明美
【動画】コロナ禍と文明
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 国際シンポジウム「朝日地球会議2021」(朝日新聞社主催)はオンラインで開催され、最終日の21日、パネル討論「コロナ禍と文明」を配信した。国立環境研究所生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんがリモートで参加し、京都大学人文科学研究所准教授の藤原辰史さんが登壇した。

 新型コロナウイルスの流行を始め、新しい感染症の多くは、野生動物が保有している未知のウイルスからもたらされていると指摘されている。熱帯林などの自然が破壊され、野生動物と人間の距離が縮まった。背景にあるのは、食料などを安く作るために自然環境を破壊して、単一作物の農地を作り食卓に届けるというフードシステム。行きすぎた経済効率、不平等、格差という、現代文明の弱点がコロナ禍で浮き彫りになっている。この先の社会をどう築いていくのか考えた。

 新型コロナのような新興感染症のウイルスが人間社会に再び入ってくることを抑えるには、どうすればいいのか。国立環境研究所室長の五箇公一さんと、京都大学准教授の藤原辰史さんが、地球環境、グローバル経済といった視点で議論し、目指す社会を考えた。

 五箇さんは、ウイルスが人間社会に入る経緯について、「ウイルスも、宿主となる野生動物と共生関係にあり生物多様性を形作る一員。農作物や家畜の生産のため、ウイルスがすんでいる熱帯林など野生の世界が壊され、ウイルスが人間社会に飛び出してきている」と解説。藤原さんは、野生の世界を壊す自然破壊について「食べる以上のものが大量に生産、消費、廃棄される。そうしたフードシステムの中に完全に入り込み、止められなくなっているのが、背景の一つ」と警鐘を鳴らした。

 五箇さんは、こうしたシステムを作り上げる経済を「将来のこと、相手のことを考えず、利己的に進める結果のグローバル資本主義経済だ」として、「外国から安くて大量生産できるものを買う一方で、途上国では過剰な森林伐採や生産が行われることが繰り返され、自然が劣化する」と述べた。藤原さんは、その指摘に加え「みんなが共有するべき森林などの自然や水、労働力から、利潤をとっていかないと資本主義が先にいかない。そういった経済システムである『新自由主義』も問題だ」。五箇さんは「そうした中で起こるリスクの一つが感染症。そのメカニズムを人類はしっかりと受け止め、今後の経済を持続性の観点から進めていくべきだ」と語った。

 目指す社会について、五箇さんは、「グローバル資本主義経済から方向転換が必要」と述べ、「地域分散型の循環社会への移行を、それぞれの国、地域で進めるべきだ」とした。藤原さんは「どこかにしわ寄せがいかないと成り立たないシステム自体を、根本から捉え直さないといけない。自然に大きな負荷を与える農業の見直しは、生産者だけでなく消費者も当事者として考えることが重要」と話した。(コーディネーター・神田明美)