日本経済に真の新陳代謝を DeNA南場会長らが意見交わす

細見るい
【動画】パネル討論「日本経済の新陳代謝」
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 国際シンポジウム「朝日地球会議2021」(朝日新聞社主催)はオンラインで開催され、最終日の21日、パネル討論「日本経済の新陳代謝」を配信した。ディー・エヌ・エー会長で経団連副会長の南場智子さん、YOUTRUST代表取締役の岩崎由夏さん、ZENKIGEN・CEOの野澤比日樹さんが登壇した。

 日本の企業は長く男性中心の働き方で、人材の流動性も欠いていた。「イノベーション」「DX」のかけ声は盛んだが、従来型の生き残りを争う発想のままでは、まるで沈みゆくタイタニック号のよう。世界からも取り残され、未来は開けない。スタートアップこそ、日本経済を引き上げていく主役なのではないか――。

 南場さんが、若手起業家の岩崎さんと、野澤さんと意見を交わしながら、日本経済に真の新陳代謝を巻き起こす具体的なヒント、新しい発想と挑戦の可能性を考えた。

 日本の企業や社会は長く、人材の流動性の乏しさが指摘されてきた。DeNA(ディーエヌエー)会長で経団連副会長でもある南場智子さんと、起業して数年の経営者2人が、伊藤裕香子・本社経済部長の司会で日本経済の活性化に向けて議論した。

 米国では、多くのスタートアップ企業が経済成長を先導し、転職は珍しくない。一方、日本では、新卒一括採用と終身雇用が主流だ。南場さんは、この「日本型雇用」が企業の内外で挑戦を阻んでいると指摘。「経験やスキル、どんなストレスに強いか、といった点での人材の多様化が切実に必要」と説明した。様々な経験をした人が評価される「寄り道プレミアム」が大切だと話した。

 DeNAでは経営幹部の7割を中途採用者が占めており、スタートアップ経験者の中途採用などによる多様性が「革新を起こす力を生む」と訴えた。新卒一括採用から脱することが、起業を後押しするとも語った。

 岩崎由夏さんは新卒でDeNAに入社して5年後、転職・副業の潜在的な意欲を持つ人をSNSで支援するサービス「YOUTRUST」を起業した。組織を生物にたとえ、血液のめぐりにあたる人材流動性が大切だと強調。日本の労働生産性が米国の6割であることにも触れ、「経済成長の柱になるのは生産性と流動性の向上」と話した。「寄り道」をした人材の存在こそが、組織にとっては課題解決の「近道」になると話した。

 AIを活用したオンライン採用サービスを手がける「ZENKIGEN」は、大企業の社員を一定の期間受け入れる、留学ならぬ「留職」を通じ、組織と人材の活性化に取り組んでいる。CEOの野澤比日樹さんは「他社に飛び込み自信をつけて元の会社に戻った人が、日本経済の新陳代謝を起こす」と語った。(細見るい)