枯れた花にも華 次期家元・池坊専好さんが伝える生け花の精神

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聞き手・向井大輔、写真・筋野健太
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 京都に本拠がある国内最古で最大の流派「華道家元池坊」。45世家元の池坊専永(せんえい)さん(88)の長女で次期家元の池坊専好(せんこう)さん(56)は、先人たちの心や技を受け継ぎ、発展・普及に努めている。花を生けてもらい、思いを聞いた。

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 ――今回生けていただいたのは、どういう花ですか。

 「これは自由花というスタイルです。第2次大戦以降、日本に民主主義の動きが出てきて、自由な風潮が強まりました。その中で、立花(りっか)や生花(しょうか)という伝統的な形式、先人たちが作り上げた美意識や自然観を大切にしながらも、個人一人ひとりの感性や創造性が発揮できる形がないものかということで生み出されました。それまでは、床の間に飾ることが前提だったんですけれども、生活空間など、いろいろな状況が変わり、床の間だけでは対応しきれないという現実も出てきたんです」

 「今回は紅葉したマンサクと、キク、ウメモドキを生けました。生け花の一つの特徴として、美しい花だけではなくて、枝のもの、つぼみや実、あるいは枯れたものまで、ありとあらゆる草木のありとあらゆる状態を生ける、というのがあります。私たちがいわゆる花と思うものだけが美しいんじゃなくて、この世にある生きとし生けるものはどんな状態でも美しいという考え方ですね。紅葉というのは、色はきれいですが、落ちる寸前の命が燃焼している姿でもあるんですよね。そのマンサクを使いたいなと思いました」

 「マンサクが葉で、キクが花、そしてウメモドキが実で、それぞれ違った要素なんです。生け花では、違ったものがあるからお互いを補完するという考え方をします。同じものを並べてもそれは調和にならない。高さも違えば、形状も違う。でも違うからこそ、自分たちが立つことができるし、本当の調和が生まれる。今、社会では多様性が大切だと言われますが、生け花はずっと前から多様だからこそ生まれる調和を追求してきましたし、見える形で示してきたと思います」

 ――あかね色に黄色も入ったキクはあまり見たことがない種類ですね。

記事後半では、伝統文化の存在意義やコロナ禍での新しい動きなど生け花を取り巻く環境の変化をお伝えします。

 「昔のキクのイメージとは違…

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