第3回「買、買、買」でふくれあがった負債 中国恒大集団は生き残れるか
恒大集団トップの実像 窮地の中国不動産王③
夕暮れ時、工事現場に立つ巨大なクレーンが、力なくうなだれているように見えた。
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中国の国内総生産(GDP)の2%にあたる約2兆元もの負債を抱えて経営危機に陥った不動産大手・中国恒大集団と、創業者である許家印氏の実像を伝える連載です。3回目では、恒大による多角的に事業を広げる手法の問題点などに迫ります。恒大が世界的に脚光を浴びるきっかけになったサッカーチームの買収とスタジアム建設計画、その後、不動産業界に激震が走るまでに何が起きたのでしょうか。
9月下旬、私は中国の不動産大手・中国恒大集団が広州市内で建設しているサッカースタジアム前に立っていた。
120億元(約2100億円)を投じ、恒大が所有する広州FC(旧・広州恒大)の本拠地として2022年末に運用を始める。
スペインの名門チーム・バルセロナの本拠地「カンプノウ」を超えて、10万人を収容できる世界最大のサッカー専用スタジアムになる予定だ。
完成予定図に描かれたスタジアムは、丸みを帯びた外壁がピッチを包むように設計されていた。広州市の別名である「花の都」にあやかってハスの花をモチーフにしたというが、私にはかなり派手だと感じた。
中国メディアによると、昨年4月の着工式典で、恒大の社長は「豪州のオペラハウスやアラブ首長国連邦のブルジュ・ハリファのような世界級のランドマークになる」と豪語。式典に参加した恒大集団の創業者である許家印は、満面の笑みで拍手をした。
だが、この壮大な計画は頓挫するかもしれない。
世界的なサッカーチームを買収するにまで成長した恒大にも暗雲が立ちこめます。記事後半では、許氏の哲学にそって拡大を続けた恒大の問題点に注目します。恒大は生き残れるのか、そして中国指導部の対応はどうなるのでしょうか。
恒大の経営危機が9月に大々…