佳境に入っているNHKの連続テレビ小説「おかえりモネ」。脚本の安達奈緒子とヒロインの「モネ」こと永浦百音を演じる清原果耶と長く仕事をともにしてきたNHKのスタッフがいる。
制作統括の一人、須崎岳。
産婦人科の医院を舞台にしたドラマ「透明なゆりかご」で、安達、清原とタッグを組んでいる。
どんな思いで「おかえりモネ」をつくってきたのか。コインランドリーの“告白”シーンやSNSで話題になっている「#俺たちの菅波」など、29日の最終回を前に舞台裏を語った。
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2021年に安達さんと朝ドラをやることになり、現代ドラマをやろうという話になりました。最近は時代ものが多かったので。今を描く朝ドラを作りたいという話になった。
今年は、あの震災から10年。東北のことは意識しました。安達さんや局内で話し合って、東北を舞台にすることにしました。安達さんが脚本を書くから、清原さんの起用が決まっていたと、よく聞かれるんですけど、企画が先です。
ごまかさない清原果耶 亮への言葉「冷たすぎる」
清原さんの俳優としての魅力は、あらゆる面でまっすぐであるということです。
ごまかさないし、ごまかせない。
念願の朝ドラヒロインをとても喜んでくれた。一方で、「透明なゆりかご」に続いて、安達さんの脚本でまた演じることがうれしかったそうです。だから、安達さんの脚本を本当に信頼しています。
ですが、時折、このセリフは何を意味しているのか、ひっかかることもある。器用な役者だと、そのまま演じてしまうけど、清原さんは立ち止まる。演出や僕に、聞いて「わからない」と言います。もちろん、プロですから、収録現場ではいきなりいいませんよ。台本を読んだ段階でね。
僕らはわかっているつもりですけど、深い疑問があった場合には、安達さんにどういう思いで書いたか、改めて聞きます。
それを伝えますが、「なるほど、わかりました」とは、ならないんですよね。「うーん、考えます」と持ち帰って収録に臨む。
例えば、東京のコインランドリーでモネが「(自分の気持ちを)分かってんでしょ」と告白した及川亮(永瀬廉)に対し「これで救われる?」と言ったシーンです。
清原さんは「冷たすぎるのでは」と言ってきました。
僕、演出、安達さんが思って…