観光とベッドタウンの顔を持つ選挙区 問われる課題は、候補の主張は

2021衆院選

志田修二
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 北海道千歳市北広島市札幌市厚別区などを抱える北海道5区。北海道の空の玄関口の新千歳空港支笏湖といった観光の側面に加え、プロ野球日本ハムファイターズの新球場建設に合わせ開発が進む北広島のようなベッドタウンという側面も持つ。選挙区で今問われている課題は何なのか。

 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言の解除から約半月がすぎた16日、新千歳空港の出発ロビーには修学旅行客や添乗員が先導するツアー客の姿があった。土産物店が並ぶ通路は買い物客でにぎわい、人気スイーツ店には行列もできていた。

選挙区を歩く@北海道

 衆院選が公示され、道内各地で激しい選挙戦が展開されています。北海道の各選挙区で問われる政策課題や選挙戦の状況を追います。今回は道5区を歩きます(随時掲載します。候補者の年齢は投開票日現在)。

 「ようやくだね。でもまだまだ。コロナ禍前はこんなもんじゃなかった」。かつての千歳空港開業当時から土産物店を営む小笠原商店の小笠原琢社長(52)は話す。コロナ禍で売り上げは半減。父親の小笠原良会長(83)も「空港で商売を始めてこんなことは初めて」という。

 空港会社、北海道エアポート(HAP)も大きな打撃を受けている。2020年度の利用客は821万人と34年ぶりに1千万人を割り、売上高は目標の3分の1の約320億円に激減。純損失は261億円にのぼった。21年度上半期の見通しを蒲生猛社長は「コロナ前の70%ぐらいの利用を見込んだが、実際は40%にも満たない。思っていたより悪い」と話す。

 国は運営権対価の支払いを2年間先送りしたほか、30年間の運営期間の1年延長という支援策を発表しているが、蒲生社長はさらに期間延長を要望している。感染再拡大への備えとして「例えば今後は緊急事態宣言の際、札幌で観光客を受け入れられなくても道東や道南は受け入れたり、ワクチン接種者は認めたりするなど、きめ細かな対策を行ってほしい」と訴える。

 千歳周辺の代表的な観光地・支笏湖では8月末、地域に衝撃が走った。創業106年の老舗旅館、丸駒温泉旅館が民事再生法の適用を申請した。設備投資の負担などで経営は厳しかったが、「最後はコロナが引き金となった」と佐々木義朗社長(58)はいう。

 全国にファンも多い同旅館は、民事再生手続きの下で再建を目指す。佐々木社長は「コロナ禍のなかで観光産業がどう対応していけばいいか、向き合っていくことが大切だ」という。

 新たな開発が進む地域という顔も持つ5区。札幌市厚別区ではJR新札幌駅周辺で再開発が進む。北広島市では総額600億円超を投じて日本ハムのボールパークが建設中だ。活発な投資効果が厚別区北広島市などの地価上昇、あるいは札幌市近郊という立地条件の良さから江別市恵庭市千歳市には人口増という現象をもたらしている。

 厚別区で暮らす加藤富明さん(66)は「再開発でまちがにぎやかになるのはいい」と歓迎する。夫婦で年金暮らし。今は家計をやり繰りしながら生活しているが、年金制度の見直しなど先行きには不安も感じる。「世の中がよくなるのはいいが陰の部分にもしっかり光を当ててほしい。市民にとって一番大事なのは足元の暮らしです」という。

 5区で立候補した候補者は、コロナ対応や地域経済についてどんな主張を展開しているのか。

 無所属新顔の大津伸太郎氏(56)は、「ワクチン接種だけでなく経口接種できる治療薬を活用する」という。

 自民前職の和田義明氏(50)はコロナで傷んだ業界への支援について、「Go toキャンペーン的なものに加え、安定して一定程度の収益が確保される環境をつくることが大事だ」と主張する。

 共産新顔の橋本美香氏(51)は「持続化給付金といった給付や支援金をしっかり充実させることも大事だ」という。

 立憲前職の池田真紀氏(49)は、経営が厳しい企業への支援について「最優先の分野では平時から何らかの補助をするといったことも必要」とし、「想定外の場合は災害救助法レベルの支援も」とする。(志田修二)

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