保釈中のGPS装着、侮辱罪の厳罰化が答申 仲裁手続き見直しも

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 保釈された被告らの逃亡を防止するための方策について、法制審議会は21日、古川禎久法相に答申した。海外逃亡の恐れのある被告に全地球測位システム(GPS)端末の装着を可能にするなどの内容で、答申をもとに法務省は、早ければ来年の通常国会への提出も視野に、刑事訴訟法や刑法の改正案をまとめる。

 答申などによると、GPS端末の装着は裁判所が命令し、あわせて空港や港湾施設の周辺などを「所在禁止区域」に指定。被告が区域に立ち入った場合や、義務に反し端末を外したり壊したりしたことを端末が検知すれば、裁判所に通知され警察官などが必要に応じ身柄を拘束する。いずれの場合にも1年以下の懲役の罰則も設ける。

 答申には、控訴審に被告の出廷を要しないとする現行規定の見直しも盛り込まれた。禁錮以上の刑の罪で起訴され保釈中の場合は判決期日への出廷を義務づけ、実刑ならその場で収容できるようにする。また、判決の確定後も保釈されたまま逃げている被告を対象に、捜索や差し押さえなどの強制捜査を新たに可能にする。これらの方策を組み合わせ、保釈保証金により逃亡を抑止する現行の仕組みの強化を図る。

 日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告が保釈条件を破ってレバノンへ出国するなど、保釈中の被告らの逃亡が2019年に5件相次いだ。翌20年2月の諮問を受け、6月から法制審の部会で検討が進められてきた。

 21日はほかに2件の答申が行われた。1件は、公然と人を侮辱した場合に適用される侮辱罪の法定刑を引き上げる刑法改正。ネット社会の定着とともに中傷被害が深刻化していることを受けた厳罰化で、拘留(1日以上30日未満の収容)と科料(千円以上1万円未満の徴収)とする現行の規定に、1年以下の懲役・禁錮と30万円以下の罰金を追加する。これに伴い公訴時効も1年から3年に延びる。

 もう1件は、商取引の紛争を解決する裁判外の「仲裁手続き」を見直す仲裁法の改正。手続きが終わるまで紛争当事者に財産の処分などを禁じる「暫定保全措置」について、現行法上はない強制力を持たせるため、違反した場合に違反金を支払わせるなどの内容だ。取引の国際化への対応の遅れが課題になっている。

 法務省はいずれの改正法案も来年の通常国会までに提出したい考えだ。