店員は認知症 糸電話で注文、間違えても「てへぺろ」 

細川卓
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 注文を聞き取れなくても、間違えても、「ま、いいか」と楽しんで――。大阪市福島区グループホームに、認知症の入所者が働く「てへぺろキッチンカー」が登場した。全6回のイベントで、11月6日まで各地で開かれる。

 青空の下、駐車場に止められたスペイン料理のキッチンカーの前で、3人のおばあちゃんたちが、会計、注文、受け渡しを務めた。新型コロナウイルス感染対策で、注文は2メートルの糸電話。お客さんが「お弁当四つお願いします」と言うと、おばあちゃんは「何個ですか?」。お客さんが笑顔で言い直すと、「わかりました」と元気に答えた。

 企画したのは大阪市此花区特別養護老人ホーム「ラヴィータ・ウーノ」の中川春彦施設長。認知症の高齢者がホールスタッフを担う「てへぺろキッチン」を2年連続で開催していたが、昨年コロナ禍で中止に。さらに施設は面会中止や外出自粛など厳しい感染対策を強いられた。ふさぎ込む入所者が多い中、「何とか地域の人たちとのつながりの場を持てないか」と頭を悩ませる中で「キッチンカーなら屋外で人数を絞れば実現できる」と動きだした。

 クラウドファンディングで支援を呼びかけたところ、目標の50万円に対して100万円以上が集まった。開催趣旨に賛同した此花区や飲食店の協力を得て、緊急事態宣言が明けたタイミングでの開催にこぎ着けた。

 感染拡大防止のため予約制にし、来場客は1日30人に限定。糸電話のほか、体温計や消毒液も準備した。イベントを終えた中川さんは「マスク越しでも、お客さんや入所者の皆さんにいい笑顔が見られて良かった。今回のイベントを種に、より大きなイベントにも挑戦していきたい」と意欲をみせた。

 来場した米澤知恵さんは、「私たちが決めつけているだけで、(認知症でも)できることってたくさんあると感じた。お話しすることで、元気をもらえました」と話した。

 今後、キッチンカーが出店する日程と場所は以下の通り。予約はラヴィータ・ウーノ(06・6463・6546)へ。

10月26日11時30分~13時30分 此花区役所

10月29日11時30分~13時30分 特別養護老人ホーム「ラヴィータ・ウーノ」

10月29日14時~16時 小規模多機能型居宅介護「アルモニー此花」

11月6日11時30分~13時30分 此花会館梅香殿(細川卓)