医療分野、じわりと広がる自己責任論 コロナ対応した医師の危惧

2021衆院選新型コロナウイルス

聞き手・斎藤徹
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医師・堀元進さん(65)=札幌市豊平区

 札幌市内の「旭町医院」で訪問診療をしています。自宅や介護福祉施設などを回り、高齢者ら在宅の百数十人の患者さんを診ています。診療はもちろんですが、患者さん会話を交わし悩み事の相談にも乗ります。患者さんの日常生活を支える仕事にやりがいを感じてきました。

私の争点@北海道

 1年半以上続くコロナ禍の中で行われている衆院選。有権者は政治に何を思い、どんな政策を望むのか。北海道内各地で聞いた。

 そんな町医者の日常は、昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大で一変しました。当初は感染リスクを避けるための防護着もなく、市販の雨がっぱを代用して使っていました。患者が急増すると、国は「病床を増やして」と通知してきましたが、規模が小さい医療機関は、ベッドを置くスペースを確保するのも大変。患者を診る看護師の増員も必要です。国はそんな事情を顧みることなく、現場に負担を押しつけてきました。

 今年5月の感染急拡大期には、サービス付き高齢者向け住宅に住む90代の女性がコロナに感染しました。入院治療が必要でしたが、受け入れてくれる病院が見つかりませんでした。10日ほど経ってようやく病院が見つかり、一命は取り留めましたが、体調が悪化し、介護が必要な体になってしまいました。「自宅療養」という言葉が想起させるイメージとはかけ離れた過酷な状況が、現場では起きています。

 ワクチン接種もそうですが、国のコロナ対策は、場当たり的な印象が否めません。一方通行のシステムでは救える命も救えません。コロナ禍で、この国の医療制度の脆弱(ぜいじゃく)性が露呈したと感じます。国は持っている情報を開示し、展望ある計画に基づいた対策を立て、患者の安心・安全に資するべきです。

 コロナを機に、医療分野にも自己責任論がじわりと浸透しつつあるのが非常に気がかりです。(聞き手・斎藤徹)

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