再エネは「主力電源」、割合も倍増 脱炭素狙うも達成に課題多く

長崎潤一郎
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 政府は22日、新たなエネルギー基本計画閣議決定した。温室効果ガスを減らすため、2030年度に再生可能エネルギーの割合を発電量全体の「36~38%」に引き上げ、19年度実績から倍増させる。原発は「20~22%」と従来の目標を維持し、石炭火力は「19%」に抑えるとした。世界的な脱炭素化の流れに対応する狙いがあるが、実現に向けた課題は多い。

 基本計画は中長期的なエネルギー政策の方向性を決めるもので、原則3年に1度改める。菅政権がつくった計画案を岸田政権でほぼそのまま閣議決定した。今回は、菅義偉前首相が昨秋、50年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を宣言してから初の改定となる。10月末に英国で始まる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に向けた政府の排出削減計画の前提となる。発電部門の脱炭素化を進めるため、30年度の電源構成の目標を6年ぶりに見直した。

 再生エネは「主力電源」という従来の位置づけに加え、「最優先の原則のもとで最大限の導入に取り組む」とさらに踏み込み、電源構成の比率をこれまでの「22~24%」から大幅に引き上げた。

 原発は引き続き既存の原発の再稼働を進める方針で、従来の目標を維持。新増設や建て替えの是非は明記しなかった。ただ、脱炭素に欠かせない重要なベースロード電源と位置づけ、「必要な規模を持続的に活用していく」とし、将来の新増設などの可能性には含みを残した。

 石炭や液化天然ガス(LNG)などの火力発電は、19年度実績の約76%を「41%」まで減らすとした。このうち、とくに二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭火力は19%に抑えるとし、発電効率が悪い老朽火力の削減を進める。燃焼時にCO2を出さない水素・アンモニアを燃料に使う火力発電の「脱炭素化」も急ぎ、30年度には「1%」を占めるようにする。

 しかし、今回掲げた目標には課題も多い。再生エネの大量導入の主力と見込まれる太陽光発電をめぐっては、すでに適地が乏しいとの指摘があるほか、電気料金の値上がりにつながる可能性もある。原発比率の目標も既存原発をほぼすべて動かすことが前提だが、再稼働への国民の反発は根強く、政府が思うようには進んでいない。石炭火力をめぐっては、欧州を中心に全廃を求める声が強まっており、約1週間後に控えたCOP26で日本の目標が批判される可能性もある。(長崎潤一郎)