美しい刺しゅう、実はガザ製 空爆被害地、女性の経済自立支える

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パレスチナ自治区=清宮涼
【動画】パレスチナの伝統産業、刺しゅうや織物=清宮涼撮影
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 中東パレスチナの伝統的な刺繡(ししゅう)や織物が注目を集めている。今年5月にガザ地区でイスラエル軍との激しい軍事衝突が起きた後、欧米などでパレスチナへの関心が高まり、女性たちの経済的な自立を支えようと、注文が殺到しているという。

 黒地の布に赤、ピンク、緑などの鮮やかな刺繡が施されたドレスやスカーフが並ぶ。描かれているのは、花や杉の木などをモチーフにした幾何学模様だ。

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スラファ刺繡(ししゅう)センターにはパレスチナ刺繡が施されたドレスが並ぶ=2021年8月15日、パレスチナ自治区ガザ地区、清宮涼撮影
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ラクダやキャンドルなど、身近なものが刺繡(ししゅう)されたテーブルクロス=2021年8月15日、パレスチナ自治区ガザ地区のスラファ刺繡センター、清宮涼撮影

 7月、ガザ市中心部にある「スラファ刺繡センター」を訪れた。ガザ地区では5月、11日間にわたってイスラエルとの間で衝突が起き、空爆で子どもを含む250人以上が死亡した。センターは直接の被害を免れたが、製造が一時ストップした。

 「パレスチナの各地にそれぞれ伝統的な刺繡があり、女性の生活に身近なものが描かれています」。センターでガザ地区の女性たちに刺繡を指導しているスマヤ・アブアウダさん(56)が教えてくれた。

 パレスチナ刺繡は×(バツ)の形に縫い針を刺して模様を仕上げる「クロスステッチ」とよばれる技法が基本だ。柄は100種類以上もある。

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×(バツ)の形に縫うクロスステッチによるパレスチナの刺繡(ししゅう)=パレスチナ・アマル提供
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スラファ刺繡(ししゅう)センターでミシンで仕上げをするマナル・アタラさん=2021年7月18日、パレスチナ自治区ガザ地区、清宮涼撮影

 店の2階では、女性たちが手刺繡や仕上げのミシン作業をしていた。7年前から刺繡センターで働くマナル・アタラさん(45)は、義理の妹フェリエルさん(38)を5月12日の空爆で亡くした。フェリエルさんは薬を買おうとガザ市内の薬局に行き、爆撃に遭った。「家族を失い、精神的に苦しんでいる。だがここで働き、同僚と話すことで苦しみを和らげることができた」と振り返る。

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