安くない原子力、脱炭素と脱原発の両立は エネルギー政策の選択肢

有料会員記事

聞き手・桜井泉 聞き手 シニアエディター・尾沢智史 聞き手・大牟田透
[PR]

 政府が掲げる2050年のカーボンニュートラル温室効果ガスの実質排出ゼロ)。実現に向けた道筋で各党の公約は脱原発と原発維持で割れている。脱炭素時代のエネルギー政策を考える。

     ◇

原子力はかろうじて生き残っている 環境経済学者・大島堅一さん

 原子力発電は、2011年の東京電力福島第一原発の事故以来、追加的安全対策に膨大な費用がかかり、採算がとれなくなりました。風力や太陽光などの再生可能エネルギーによる発電と省エネを積極的に進め、原子力依存から脱却しなければなりません。

 政府や経済界は長年、「コストが安い」という理由で原子力発電を基幹電源にしてきました。しかし、経済産業省が今夏に公表した30年時点の発電コスト試算によると、原発は1キロワット時あたり11・7円以上です。太陽光(事業用)は8・2円~11・8円で、もはや「原子力が安い」とは言えなくなっています。

 そもそも政府のコスト試算は、放射性廃棄物の処分費やテロ対策費などで推計が十分でないところがあります。それでも福島の事故後、追加的安全対策や廃炉除染費用などを含めるようになりコストが上がったのです。

 原発は稼働していなくても維持費がかかり、新規原発の建設費は高くなる一方です。一方、再生可能エネルギーは今後の技術革新でもっと安くなることが確実視されています。原子力発電を続ければ、電気料金は高止まりします。

50年のカーボンニュートラル実現には何をすべきか、大島さんの論が続きます。記事後半は、「脱炭素実現のために、政府は特定のエネルギー技術だけに絞り込むべきではない」とする村上朋子さんと、「原発問題は過去の経緯やしがらみが大きく影響する論点」という上川龍之進さんが語ります。

 コストを巡る問題は決着がつ…

この記事は有料会員記事です。残り3236文字有料会員になると続きをお読みいただけます。