17日午後のJR名古屋駅。出発した特急ワイドビューひだ13号の自由席に神田沙織さん(36)が座っていた。傍らには一人息子の律樹さん(5)。祖母に買ってもらったミニカーを手に楽しそう。
遊びに出かけて岐阜県高山市の自宅に帰る。昨年3月まで住んでいた東京の騒々しさはなく、ゆっくりと親子の時が流れた。
律樹さんは2016年6月生まれ。この年の10月、住んでいた港区で保育所を探す「保活」を夫と始めた。だが区役所の担当者に相談すると「えっ? この時期に探し始めるのは、来年出産予定の妊娠中の方ですよ」と返ってきた。250人待ちの認可保育所もあり、港区では諦めた。
23区内で認可保育所に入るには、「優先度」を示すポイントが重要だ。様々な条件を1点刻みで積み上げる。育休取得はポイントになると思ったが、神田さんは夫とデザイン会社を営む自営業。育休制度の対象外という壁にぶつかった。
16年11月、保活の環境が…