止められた労災の休業給付、底をついた貯金 コロナ後遺症患者の不安

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山本恭介
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 愛知県の40代女性は昨年7月、新型コロナに感染した。病院の事務職だった。肺炎の症状で入院した。9月下旬、職場に戻った。

 しばらくして異変が起きる。倦怠(けんたい)感、胸の痛み、脱毛といった症状が出始めたのだ。

仕事中に新型コロナウイルスに感染して労働災害と認定されたら、治療や休業の補償が受け取れます。その数が1万5千人に迫る一方、人によっては深刻になる後遺症への対応が不十分という指摘も出ています。

 また10月下旬から休んだ。11月は家で寝たきり状態だった。収入が途絶えた。

 小学6年生を1人で育てている。生活費は貯金を崩して捻出した。

 年が明けた今年2月、申請していた労災がやっと認められた。だが通知書の内容に目を疑った。

 発症前の賃金の8割を原則補償する休業給付は、昨年9月下旬までの分しか認められていない。再び休んだ昨年10月下旬以降は「調査中」として停止の扱いだった。

 貯金は尽きた。女性は社会福祉協議会からの借り入れで生活をつないだ。労災手続きなどを支援する「名古屋労災職業病研究会」の助けも借りて、労働基準監督署とやり取りした。今年5月下旬、支給が再開された。

 いまも女性は、倦怠感や微熱に悩まされている。家事などを1週間できても、翌週には寝込むことの繰り返し。働くのは難しい。「調子がいいから治ったかと思えば体調が悪くなる。いつまで症状が続くのか」

 休業給付も続いている。だが、いつ、また「停止」にならないか不安だ。女性は「貯金が底をつき、生活ができなくなる。そうならないための労災保険ではないのか」と話す。

コロナ感染、労災認定率は約8割

 厚生労働省は、新型コロナ感染なら、経路がはっきりしなくても仕事が原因とみられれば柔軟に労災認定する方針を示している。

 新型コロナ感染の労災は9月30日までに1万8637件が請求され、1万4567件が支給された。認定率は8割近い。脳・心臓疾患の認定率3割程度よりかなり高い。

記事の後半では、新型コロナの後遺症を労災でどう扱うかについての厚労省の見解や、50人ほどの後遺症患者を診療しているという医師の意見を紹介します。

 医療、介護従事者は、コロナ…

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