テレワーク、災害時のBCPに生かすには? 意外に低い実施率

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小瀬康太郎
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 コロナ禍で多くの企業に広がったテレワーク。急な災害には対応できるのでしょうか?

 首都圏で最大震度5強を観測した今月7日夜の地震では、電車などの交通への混乱が広がりました。翌8日朝は一部の駅で交通規制がしかれ、通学・通勤客らで大混雑する様子が報じられました。

 テレワークに詳しい常葉大経営学部の小豆川裕子教授は、災害時に向けたBCP(事業継続計画)の策定の必要性を訴え、「有事に対応するため、日頃からテレワークなどの多様な働き方に慣れることが大事」と指摘します。

 導入が進んだかに見えるテレワークですが、内閣府や民間機関の調査によると、全国的なテレワーク実施率は意外に高くありません。コロナ対策としてだけでなく、これからの社会では「当たり前の働き方として定着すべきだ」と強調します。話を聞きました。

まずは業務の「棚卸し」を

 ――コロナ禍でテレワークが広まっていたはずなのに、地震の翌朝に駅が大混雑したのが印象的でした

 出社せざるを得ない理由があるのかもしれませんが、長蛇の列を見ると、大きな負担だろうと感じました。地震や降雪、台風などのときに無理に出社することは、二次、三次災害に巻き込まれたり、「密」な状況で新型コロナウイルスの感染が広がったりするおそれもあります。

 ――緊急事態宣言が明けたら、「生産性が上がるから」と「毎日出社」を指示するようになった企業もあるようです

 コロナ禍でせっかく進めていたテレワーク環境が、元の状態に戻ってしまうことは残念です。

 テレワークを導入しやすい業種と、そうでない業種があるとよく言われます。基本的にホワイトカラーのほとんどの業務はテレワークが可能ではないでしょうか。製造業でも生産現場に入る必要がある一部の人は難しいかもしれませんが、営業や人事などほとんどの部署で導入できるはずです。

 テレワークが進んでいる企業は、最初に業務の「棚卸し」をしています。できる部分とできない部分をはっきりさせ、できる部分を少しずつ広げています。

 例えば、2020年度の一般社団法人「日本テレワーク協会」(東京)主催のテレワーク推進賞の会長賞を受賞したリコー社(同)は、コロナ禍直前の20年2月時点で全社員の約7割がリモートワークを実践していました。その後も、社員への調査をもとに職種ごとに最適な出社率を設定しているそうです。必ずしも最初から全てをテレワーク化する必要はなく、適正なバランスを見つけることが大切です。

 一方で同社は、在宅勤務が難しい現場でも、ロボットで自動化した製造ラインの状況を自宅から確認できるようにするなどの工夫に取り組んでいます。

 個人情報の管理は重要な課題ですが、文書をいまだ紙ベースで管理しているのは、中小企業や地方企業が目立ちます。押印も同じ。まずは資料のデジタル化から始めるべきです。セキュリティーを徹底すれば、持ち帰り可能なノートパソコンなどで管理することもできるようになります。

災害時をみすえたBCP(事業継続計画)を進めるには? 普段の備えは? 記事の後半では、具体的な対応策をうかがいます。

テレワークの実施率は……

 ――コロナ禍で注目が集まり、テレワークの導入は進んでいる印象です

 そんな印象があるかもしれま…

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