◆ノンフィクションライター・翻訳家の田村明子さんの寄稿=「論座」から転載
眞子さまと小室圭氏のご結婚が秒読みとなり、日本のマスコミは関連の報道で一色に染まっているかのようだ。
ニューヨーク在住40年になる筆者としては、お二人が新たな生活を始める場所にニューヨークを選んだのは、良い選択だったと思う。この街には有名人、著名人が普通に暮らしていて、名の知られた政治家やハリウッドスターも気軽に一般のレストランで食事をしている。見かけても無粋に騒ぎ立てないのがニューヨーカーの心意気とされている。
筆者のいるビルの隣にはアフリカの某国の王さまが住んでいるが、警備員やパパラッチに囲まれている様子もない。一般人として普通に暮らしたい、と望まれるならお二人にとってこれ以上の選択はないかもしれない。
アメリカ社会の二人への関心度は
ただ一つ力説したいのは、ニューヨークに来て住むのはあくまでスタートであり、解決策、ゴールではないということだ。ご結婚と同じく、これから様々な問題に直面されることが予想される。
ニューヨーク市とその近郊には、現在ニューヨーク日本国総領事館に在留届を出していない人も含めると、およそ7万人の日本人が住んでいると言われる。
「日本であれだけ話題になっているので、在留邦人も当然関心は高いと思います」。そう語るのは、日系コミュニティー新聞「週刊NY生活」の発行人で、在米37年になる三浦良一氏。
「でも眞子さまが一人の人間として幸せをつかむということに関して、まずは祝福して静かに見守ってあげたいと思っています」
三浦氏は、過去の例をあげる。皇族から結婚によって一般の人になった女性は、眞子さまで戦後9人目。海外に住んだという点では、60年代に夫のワシントン駐在に同行した島津貴子さん以来だという。
「貴子さんは帰国してから日本の新聞のインタビューを受けて、『海外で暮らしていると大勢の人目にさらされるというプレッシャーがないので解放されて楽しかった』というようなコメントを出した。眞子さまも海外で生活することによって平和な日々を過ごせるのではないかというニュアンスの記事がニューヨーク・タイムズに出ましたが、その通りだと思います」
ではニューヨークに来てしまえば、パパラッチに追いかけられることもないのかと言えば、それは日本側の関心の高さ次第だという。
「お二人に関してはアメリカの人たちはそれほど関心を持っているわけではなく、アメリカの報道機関の日本特派員がアメリカに送っている情報が記事になっているだけ。ただ日本のテレビ局や週刊誌などがお二人の近況について取材などを発注すれば、現地在住のジャーナリストは仕事としてやるでしょう」
しばらく落ち着くまでは、日本のテレビ局のニューヨーク支局による取材合戦などが繰り広げられそうだが、ニューヨーク市民に眉をひそめられるような醜態を演じないことをひたすら願うばかりだ。
警護の問題はどうなるのか
それよりも気になるのは、お二人の身辺警護の問題だ。パンデミック発生後、ニューヨーク市内でもアジア人に対するヘイトクライムが数々報告されてきた。日本総領事館は、このお二人にどう対処していくのだろう。
朝日新聞社の言論サイト「論座」で2021年10月11日に公開した、ノンフィクションライター・翻訳家の田村明子さんの寄稿です。論座では、特集「皇室をめぐる結婚の姿」(https://webronza.asahi.com/feature/articles/2018071900010.html)で、この記事をふくむ様々な関連記事を公開しています。
「お二人は一般人になるわけ…
【視点】今回のご結婚についてではなく、あくまでNYに住むという本記事に付随して。。私もかつて仕事を辞めて夫の駐在に伴いNYで生活をした。NYはまた東京とも異なり、そこに生活するほとんどの若者がそれぞれの夢を叶えよう努力をしている街である。それだけエ