金メダルが欲しい、だけじゃない 49歳の葛西紀明の新たな喜び

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勝見壮史
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 49歳になっても、まだつかんでいない栄光への執着心は衰えない。

 ノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明土屋ホーム)は言う。「世界一の称号である金メダルだけ、達成していない。それが、続けられている理由ですかね」

 数々の金字塔を打ち立ててきた。

 世界の強豪たちがシーズンを通してしのぎを削るワールドカップ(W杯)で、史上最多の569試合出場。42歳5カ月の最年長優勝記録も作った。

 本場の欧州を回れば、選手紹介のアナウンスで、自国選手並みの歓声を浴びてきた。

 正真正銘、ジャンプ界の「レジェンド(伝説)」だ。

 だが、近年は不振が続く。昨季は26季ぶりにW杯の舞台に立てなかった。レジェンドも、年齢には勝てないのだろうか。

 葛西の認識は違う。

 「多少腰が痛かったり、ひざが痛かったりとか、そういうのは感じます。あとは白髪が増えたとか。こういう(目尻とかの)しわとか、ああ年とったな、と。それ以外で、スポーツでは感じたことはないですね」

 老いてはいない。本人の中で、そう考える明確な理由がある。最近はまっているテニスで、実感しているという。

 2、3時間びっしり動いても、疲れない。ボールに対応しながら動かなければいけない球技は、瞬発力や判断力を測るバロメーターになる。そんな持論を持つ。

 「自分で考え、どこに動いて、こうしようという反応、判断が、まださえている。ということは、ジャンプにも生かされるなと。だから、まだチャンスはあると思ってやっていますね」

 ただ、めざしている金メダルどころか、9大会連続出場をめざす2022年北京オリンピック(五輪)の代表入りも崖っぷちだ。

 北京五輪の代表は、W杯での成績で決まるが、現状では、W杯メンバー入りすら厳しい。W杯のメンバー選考に影響する24日の全日本選手権(札幌・大倉山ジャンプ競技場)で優勝できなければ、五輪への道は、ほぼ絶望的になる。

 それでも、葛西は自分の力を信じているから、五輪出場も諦めない。「9回目も、10回目もめざしていけると思っています」

 4年後も、現役を続けているつもりだというのだ。

 金メダルが欲しい。飛び続ける理由が、その一つだけなら、もう心は折れていたかもしれない。実は、他にも原動力がある。

 それは40歳を過ぎて得た新…

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