第9回制度の壁感じた就活 障害者が当たり前に働ける世の中を

2021衆院選

西岡臣
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 大阪府吹田市の小暮理佳さん(25)は筋力が低下する進行性の難病、脊髄(せきずい)性筋萎縮症(SMA)だ。「呼吸器は見た目が変わるから着けたくなかったけど、楽になるんです」。上半身は動かせるが、食事や入浴、排泄(はいせつ)などには介助が必要で、電動車イスを使い、ヘルパーの介助を受けながら両親と3人で暮らしている。

10月31日の衆院選投票日、人々は何を託そうとしているのでしょうか。私たちの現在地をお伝えします。

 3年前、就職活動では「クリエーティブな仕事に就きたい」と、洋服・雑貨のメーカーやIT企業など10社に応募した。面接で決まって最初に聞かれるのは障害のことだった。小暮さんが普段使う福祉サービス「重度訪問介護」は就労時は使えない。勤務中にかかる介助費を試算すると月40万円(1日9時間、週5日)ほどになり、自己負担するのは現実的ではなかった。他の助成金を使っても企業側に負担が生じることが分かると「そこまでのことはしません」と言われた。就職は断念した。

 コロナ禍で外出できず、孤独を感じる人が増えたという報道を見た。普段から外で自由に働けない障害者の孤独を、多くの人に知ってもらう機会になると一時は期待したが、コロナ禍を経ても障害者の雇用について議論が深まったとは思えない。「外で働く選択肢がない中で『障害者はテレワークができる』と言われても『障害者は家にいればいい』と言われているように感じます」。

 政治には障害者が当たり前に働ける制度づくりを求める。小暮さんは「重度訪問介護」が就労時に使えなかったり、職場などでの介助費用を支援する事業の実施状況が自治体によって異なっていたりする現状について、「働く権利が保障されないとスタートラインにすら立てない」と訴える。障害を理由に選択肢が狭まらない世の中になって欲しいと感じている。選挙では各党の人権に対する考え方に注目して投票するつもりだ。

 趣味で始めたアクセサリーづくりを仕事につなげ、一人暮らしをすることが目標だ。「障害があっても、働いてお金を稼いで、好きな家に住んで、好きなものに囲まれて暮らしたい。当たり前のことです」(西岡臣)

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