10カ国の駐トルコ大使に追放警告 大統領、慈善家拘束の批判受け

イスタンブール=高野裕介
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 トルコのエルドアン大統領は23日、拘束されている同国の実業家の釈放を訴えた欧米など10カ国の駐トルコ大使を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として、国外退去にする可能性を示唆した。実行されれば、冷え込む関係が続く米国などとの亀裂が深刻化し、通貨安にも拍車が掛かる恐れがある。

 エルドアン氏は西部エスキシェヒルで支持者らを前に行った演説で、「できるだけ早く、10カ国の大使をペルソナ・ノン・グラータに指定するよう外相に指示した」と発言。大使らを「不作法だ」と非難した。

 事の発端は今月18日、実業家で慈善家のオスマン・カワラ氏の拘束をめぐり、米国やドイツカナダフランスニュージーランドなど10カ国の大使が、「民主主義の尊重に暗い影を落とす」などとして釈放を呼びかける声明を出したことだ。トルコ外務省は翌日、「無責任だ」としてこれらの大使を呼び出した。

 ロイター通信などによると、カワラ氏は2013年に起きたデモや16年のクーデター未遂事件に関与したとして、17年から拘束されている。欧州人権裁判所は19年、カワラ氏の釈放を求めていた。

 エルドアン氏の発言は、対ドルで下落が続くトルコリラにも影響を与える可能性がある。中央銀行の独立性や金融政策をめぐって市場から疑問符が付き、リラは最安値を更新し続けている。

 ただ、これ以上の欧米との関係悪化はトルコ経済に大きな打撃を与える恐れがあるため、今回の発言はインフレや通貨安に苦しむ市民や支持者らへの「国内向けアピール」との見方もある。(イスタンブール=高野裕介)