「無敵の強さ」を支えたもの 競泳・萩野公介が輝きを失ったわけ
清水寿之
24日に現役引退を表明した、リオデジャネイロ五輪の競泳男子400メートル個人メドレー金メダリストの萩野公介(27)は、アスリートとして類いまれな武器を持っていた。
特殊な筋肉だ。
瞬発力と持久力を兼ね備えていた。普通の人ならどちらかに偏る。
1分間続けて腹筋をやれば、各競技の日本代表クラスのなかでも最高水準の70回。2分の休憩を挟んで同じメニューをこなすと大抵のアスリートは10回以上少なくなるのに、萩野はほとんど変わらなかった。
リオ五輪当時、担当トレーナーは絶賛していた。
「ダメージを受けにくいのか、回復が早いのか。いくらでも練習ができて、筋肉もつく。萩野に勝る体をしている選手はいない」
恵まれた体の能力を最大限引き出すための努力も、惜しまなかった。
指導にあたった平井伯昌コーチ(58)が「他の選手なら壊れる」と評する練習量を、黙々とこなしていた。強度の高いメニューでは唇を真っ青にし、息も絶え絶えになりながら泳ぎ続けていた。
そんな萩野もリオ五輪を境に、自分の記録を塗り替えることができなくなった。
五輪翌年の2017年、プロ…
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