ゴミ拾い効果?不振の5番が5打点で大逆転 金光大阪が選抜へ前進

山口裕起
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 (高校野球秋季近畿地区大会準々決勝、金光大阪7―6近江)

 調子は絶不調だ。でも、徳を積んできたから「なんか打てそうな気がした」と金光大阪の5番打者・貴島琉惺(2年)は、自信を持って打席に立った。

 6点を追う四回。2死一、三塁から外角球を振り抜くと、打球は右翼手の頭上を越える2点三塁打になった。

 3点差で迎えた八回は1死満塁から左翼線へ走者一掃の同点二塁打。どちらも第1ストライクから積極的に振り、「自分を信じて思いきっていった。打球が抜けた瞬間は興奮しました」。

 その直後、送球間に三進し、一、三塁から7番打者の三ゴロで好スタートを切った。野選を誘い、勝ち越しの本塁へ滑り込む。ベンチに向かって拳を突き上げた。

 大阪府大会は打率1割台だった。「とらえたと思っても打球が飛ばない」と不振を抜け出せず、近畿大会1回戦の高田商(奈良)戦も無安打だった。

 それでも、打てる自信があった。なぜか。

 「入学以来、ずっとゴミ拾いをしてきたんです。なにかいいことがあるかなと」

 晴れの日も雨の日も、調子がよくても、悪くても、毎日、駅や道端でゴミを見つけたら拾っているという。1年の夏ごろに、「もういいや」と思ってやめようとしたこともあったが、学校の先生に諭されて続けている。

 この日も、自宅の最寄り駅で朝から空き缶を拾ってきた。

 4打数2安打5打点の活躍に、「こつこつやってきてよかった。徳を積めました」。

 チームは四回までに6点を失い、横井一裕監督は「コールド負け(五回10点差、七回7点差)もちらついた」という展開だった。そこからの逆転勝ちで、2009年春以来、13年ぶりの選抜大会出場へ大きく前進した。

 貴島は、にこりと笑って言った。

 「また明日からゴミを拾います」(山口裕起)