「もっと格好良く終わる予定だった」 引退の競泳・萩野公介が語る

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 リオデジャネイロ五輪の競泳男子400メートル個人メドレー金メダリスト萩野公介(27)が24日、現役引退を表明した。会見での主なやりとりは次の通り。

 ――いつから東京五輪を最後にと考えていたのか。

 休養した2019年には、周りの方から「やめてもいい」と言ってもらった。そのとき初めて、引退かなと。心のなかで、もう一度ちゃんと水泳に立ち向かいたいと。どんな結果でも(東京五輪の代表選考会を兼ねた)日本選手権で代表落ちしようが、最後だなと決めていた。

 ――その理由は。

 体力もそうですし、気力も、もしかしたら前のように、何が何でもしがみつくようなところが無くなっていたのかもしれない。現役最後の方は、結果を追い求めるよりも、なぜ泳いでいるんだろうと考えていた。最後に、自分なりの答えをみつけられた。

 ――その答えとは?

 最初は速く泳げばいいと思っていた。1位だったらいいと。記録を出せばいいと。そればかり追い求めていた。でも、そこに何が残るのかと強く感じた。泳ぐことが生きることにつながって、生きるとは何かを考えたときに、苦しくても、たくさんの人の力を借りながら前に進むことが、生きるということなんだと。

 ――プロ選手としての5年、役割は果たせたと思うか。

 現役は、もっと格好良く終わる予定だったんですが、予定は未定だなと。結果、タイムを基準に考えたら果たせたかどうか、怪しいところ。ただ、僕自身は、それだけではないと気付けたところも大きかった。小さいころから1位が当たり前、勝つことが当たり前。勝ってもタイムが速くないと意味無いと思ってきた。でも、そうではないと気付いたことが大きかった。苦しみながらも、全力で泳げた。格好いい姿だけが、プロではない。全力でやれてよかった。

 ――東京五輪の200メートル個人メドレーの準決勝を通過したときの涙が印象的だった。

 実力的にいって準決勝で落ちてもおかしくなかった。まさかもう1本泳げるとは思っていなかった。心の底からうれしいと思ったのは、幼少期以来だったかもしれません。

 ――リオの金メダルとはどんなものだった?

 いい思いも、苦しい思いも、すべてくれた存在だと思います。

 ――いま、楽ですか?

 気持ちは楽になりましたね。いままで、次の日は練習へ行くのが当たり前だったので。常に僕のそばにあったもの。すがすがしい気持ちが強い。やり切ったと同時に、不思議な感覚。いつかはくると思っていた日を迎えた自分は、いろんなことを経験したし、成長した。

 ――同学年の瀬戸大也とはどんな話を?

 「お疲れさま」と言われた。僕は「ありがとう」と。彼がいなかったら、僕はいなかったですから。そう伝えました。

 ――2人のレースで一番印象に残るものは?

 選べないですね。勝ったとしても負けたとしても、彼との勝負だけは、次がどっちが勝つか分からない特別な感じというか、不思議な関係があった。それがない、と思うのも寂しい気はするが、向こうは現役を続けるので頑張って欲しい。

 ――今後は?

 まずは少し休んでから。いろんなことに興味がある。得意、不得意かではなく、いろんなことに挑戦して、第二の人生をがんばっていきたい。

 ――またプールに戻りたい?

 指導者に向いていないと思うので、考えていない。