「気候危機は待ったなし」、政治家は? 大学生が「対話」を求めたら

有料会員記事withU302021衆院選

堀越理菜
【動画】No Youth No Japan × 朝日新聞 「with U30」若者と衆院選
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 ◆2030 SDGsで変える 「気候危機は待ったなし」。そんな危機感と早急な対策を求める若者の声を、「対話」を通して政治に届けるアクションを、鹿児島の大学生(20)が立ち上げた。地球規模の壮大な課題に、記者(24)と同年代の学生がなぜ「自分ごと」として取り組むのか――。企画取材で同行した。

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中村涼夏さん=2021年10月9日、鹿児島市、金子淳撮影

共感したグレタさんの「怒り」

 取材したのは、鹿児島大水産学部2年の中村涼夏さん。中村さんは幼少期を鹿児島で過ごしたが、小学校入学前に名古屋に転居。そこで見た海は、鹿児島の青く透き通った海とはまったく違った。「臭くて本当に同じ海なのかと思った」。のちに、その原因は人間のせいなのだと思い至った。

 将来は環境保全に関わる仕事に就きたいと考えるようになった。ところが、高校で学習塾の英語プログラムで出会った米国の大学生には、こう言われた。「なんで今やらないの?」。それを機に、SNSで発信したり、自然保護のNGOに参加したりするようになった。

 気候危機を訴えるグレタ・トゥンベリさんを知ったのは高校3年のとき。SNSで流れてきたニュースで、グレタさんは大人たちに対して怒っていた。中村さんは最初、「気候変動はシロクマの絶滅のようなよその問題だと思っていたので、なんであんなに怒ってるの?と違和感があった」という。だが調べていくうち、「生物だけの問題ではなく、私たちが大人になったとき大変な問題になると驚いた。こんなに危機的なデータが示されているのになぜ大人は動いていないのか」と思った。

 中村さんもまた、怒りがわいた。自分が大人になってからでは遅い。グレタさんが始めた抗議活動「フライデーズ・フォー・フューチャー」の日本版の活動を始めた。名古屋で開催した行進イベントでは、先頭を歩いた。

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演説する環境活動家のグレタ・トゥンベリさん=2019年12月、マドリードで開かれたCOP25で、松尾一郎撮影

無力感を抱いたことも

 もともとは、周りの目が気になる心配性だという。それでも気候危機を訴える活動に取り組んだのは、三つの思いからだ。ひとつは科学的な証明に基づいて動いてくれない大人への怒り。もうひとつは、気候危機に自分も加担しているという罪悪感。そして、三つ目は、12歳下の妹が生きる未来への責任感だ。

 そんな中村さんに対して、周りの反応は冷ややかだった。親は大学受験を心配して活動に反対。友人は「すごいね。勇気あるね」と苦笑いした。名古屋では精力的に活動する仲間の輪がなかなか広がらず、東京で活動する仲間たちの活動を見るたび、孤独も感じた。勇気を出して活動しても無力なのではないかと落ち込み、1週間ほど学校に行けなくなったこともある。

 そんなときに支えになったのは、他の都市で活動する仲間たちの励ましだった。間違ったことはしていない、と思えた。「(不安よりも)気候変動への恐怖が強かった」。再び活動に熱心に取り組むようになった。

冷静さの中に怒りを混ぜた「対話」

 中村さんは今、日本では気候変動問題が自分の生活に結びついていない、と感じている。名古屋で取り組んだ行進イベントでも、集まった150人のうち半分ほどが外国人。日本では「怒り」を伝えても、「自分たちは大丈夫。知識のない若者がなぜ怒ってるの?」と笑われてしまうことが少なくなかった。たどりついた答えが、「冷静さの中に怒りを混ぜた『対話』」という考え方だった。

挑戦や挫折を経て、「対話」という考え方に行き着いた中村さん。今回の衆院選で、仲間たちを誘ってあるアクションに取り組みます。政治家との直接対話です。実際に会った政治家たちとのやりとりはどのようなものだったでしょうか。

 では、どうするか…

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