「米国の最大の脅威は米国」 退く大国、911後の「結束」はどこに

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ワシントン=望月洋嗣
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 米同時多発テロから20年を迎えた9月11日、米ペンシルベニア州シャンクスビル郊外で、ユナイテッド航空93便が墜落して大破した現場を訪れた。44人が死亡したこの場所で、今年も追悼式典が開かれた。

 追悼行事は、ニューヨークの世界貿易センタービル、ワシントンの国防総省ペンタゴン)でもあった。ワシントンから車で3時間のシャンクスビル郊外に足を運んだのは、ブッシュ元大統領が登壇し、スピーチをすると聞いたからだ。ブッシュ氏は、21世紀の最初の年に起きた歴史的なテロを受けて、アフガニスタンイラクでの「二つの戦争」を始めた。あれから20年、国力が相対的に低下し、政治的な分断に苦しむ米国について、なにを語るのか。ぜひとも、その場で聞きたかった。

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 式典は墜落現場の草原で開催された。青空の下、黄色い花が咲き誇り、等間隔に並べられた500あまりの白い椅子に遺族や関係者が座る。惨事から20年を経た現場は、国立公園になり、犠牲者の名前が刻まれたコンクリートの壁や事件を詳しく伝える立派な施設もできている。

 ブッシュ氏は妻のローラ氏とともに登壇した。犠牲者の出身国である米国、日本、ドイツ、英国の国旗が立つ壇上には、カマラ・ハリス副大統領や遺族会の代表も並ぶ。式典が始まると、遺族や関係者が犠牲者の氏名を順番に読み上げ、その都度、追悼の鐘が打たれた。厳かな雰囲気のなかで、ブッシュ氏のスピーチは始まった。

 「敵による行動は、人々が兼ね備える精神を顕在化させた」。ブッシュ氏はそう語り、テロリストに乗っ取られた機上で、一致団結して危機に立ち向かった犠牲者たちをたたえた。テロリストたちは、ユナイテッド航空93便でワシントンの政府中枢を狙っていたとされる。だが、乗客たちが抵抗してテロリストの目的を阻み、同機はこの草原に墜落した。

 スピーチの主題はそこから、「いま米国が直面する危機」に移った。

■「米国の過激主義者も同じ」…

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