「バレエはアラベスク」牧阿佐美さんが残したもの 上野水香さん語る
聞き手・吉田純子
日本のバレエ界を先導してきた牧阿佐美さんが10月20日、87歳で亡くなりました。牧阿佐美バレヱ団で指導を受けたバレエダンサーの上野水香さんが、牧さんに教えられたこと、今の思いなどを語ってくれました。
うまく言えないのですが、牧先生って、亡くならない方だと思っていたんです。普通の人間ではない、もっと超越的な存在だと。いつお会いしてもお元気で、何も変わらなくて。本当にこのまま、ずっとずっと変わらず、私たちを引っ張り続けてくださるものだと。現実のこととして理解するのに時間がかかり、しばらくしてから悲しみが押し寄せました。
いま、ちょうどミュージカル公演の最中なのですが、初日の前日、舞台稽古の時に訃報(ふほう)を知らされ、出番の合間に中野のスタジオに駆けつけました。私自身が育ったスタジオで、一緒に育ってきた仲間たちも集まっていて。いろんな思いがあふれ、胸がいっぱいになりました。思いつくだけの感謝のことばをありったけ、先生にお伝えして舞台に戻りました。
私にとって牧先生は、ずっと憧れの存在でした。牧先生みたいになりたいと思って、頑張ってきたようなものです。
牧先生は、バレエという文化…