続く人口減、衆院選候補は地域振興訴えるが… ニセコにみる処方箋は

2021衆院選

鈴木剛志
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 衆院選公示直前の16日。JRニセコ駅では、月末のハロウィーンを控え、カボチャがいくつも飾り付けられていた。おとぎ話の世界から抜け出してきたような駅舎に観光客がカメラを向けていた。

 衆院北海道4区に含まれるニセコ地区はスキーリゾートを抱え、新型コロナウイルスの感染拡大前は多くの外国人客がやってきた。道内の観光地でも世界的な知名度が高く、移住したり別荘を構えたりする外国人も多い。

 ニセコ地区の観光がにぎわうようになったきっかけには、ニセコ駅も深く関わっている。

選挙区を歩く@北海道

 衆院選が公示され、道内各地で激しい選挙戦が展開されています。北海道の各選挙区で問われる政策課題や選挙戦の状況を追います。今回は道4区を歩きます(随時掲載します。候補者の年齢は投開票日現在)。

 1963年、ニセコ山系などが「ニセコ積丹小樽海岸国定公園」に指定された。少し前、観光を盛り上げようと町民がバス会社を立ち上げた。国定公園指定を機に、駅から五色温泉や昆布温泉へ観光客を運ぼうともくろんだ。

 「だけど、うまくいかなかった」。ニセコで生まれ育ち、町職員でもあった片山健也町長(68)は言う。当時は町名も駅名も「狩太(かりぶと)」。「昆布温泉に行く観光客は昆布駅(蘭越町)で降りてしまったのです」

 当時、駅名は地名からとられることになっていた。町名変更運動を経て64年にニセコ町が誕生。駅名も68年に変更された。

 その後は観光開発が本格化する。72年にニセコアンヌプリ国際スキー場が開場。82年には東山スキー場と東山プリンスホテルがオープンした。「プリンスホテルの進出で町の知名度が全国に広がった」と片山町長は振り返る。

 ただ、観光で町がにぎわっても人口減少は止められなかった。戦後の人口は55年の8435人をピークに減少。90年には4483人まで減った。

 町は改革に取り組んだ。情報公開を進めたほか、乱開発を防ぎ、住民の生活環境を守るため、環境基本条例や景観条例、地下水保全条例などを制定した。「町の憲法」と位置づける「まちづくり基本条例」では、情報共有と住民参加を柱に、町民が町づくりの主役として行動することをうたっている。

 「この条例があるから移住していた、という人がいます。住民が楽しく暮らせない町に観光客が来ますか?」と片山町長。現在、人口は季節で変動するが、5千人前後を維持している。

 今回の衆院選で道4区は、野党統一候補の立憲新顔・大築紅葉氏(38)が、自民前職の中村裕之氏(60)に挑む一騎打ちとなっている。ニセコを含む後志地域では人口減は共通した課題だ。2候補は公示日の19日、ともにニセコ地区の倶知安町で第一声を上げた。いずれも地域振興の重要性を訴えている。

 大築氏は地域の過疎化を指摘しつつ、「地域には可能性が残っている。可能性を生かすことで元気になれる源がたくさんある」と地方交付税の増額などを主張する。

 中村氏は「後志には世界ブランドになれるものがいくつもある。市場が世界に広がったら価値が何倍にも上がる。そういうものをいくつも作っていくことも大事だ」と語る。

 地域が特色を生かして存続していくために、国は何をするべきなのか。片山町長は「地方分権だ」という。「お金さえ出せば地域がよみがえるというのは国の幻想。地域に任せて応援することが重要だ。そうして地域に居着いた人が、地域づくりの糧になるのだから」(鈴木剛志)

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