孤立化、介護人材不足……「政治家の課題設定能力を見極めたい」

2021衆院選

構成 加藤真太郎
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 埼玉県蓮田市伊奈町でデイサービス施設を運営する「和が家グループ」の直井誠さん(49)は、新型コロナウイルスの感染に見舞われたこの1年半、介護の現場で様々な対応に追われてきた。衆院選でコロナ不況からの経済回復に焦点が集まる中、各党・候補者が孤立化や介護人材不足などの問題に、どう課題を設定し、解決を図ろうとしているのかと、見つめている。直井さんに聞いた。

 コロナうつ傾向の人が増えました。感染を恐れて、外に出ないことが当たり前になり、認知機能が低下したり、心身が虚弱になって要介護になりやすい「フレイル」状態になったり。閉じこもりも増えました。症状が重くなって、ようやく離れて暮らす家族が気づいて相談に来る例も多い。

 核家族化などが進み、老老介護や独居の高齢者はこれからもますます増え、年齢にかかわらず、社会的孤立者が増えていきます。とりわけ、独居男性は地域で孤立する傾向が強くなり、一つの社会問題です。

 介護の現場では人手不足が年々深まっています。厚生労働省の推計では、団塊の世代が75歳以上になる25年度には約22万人の介護職員が不足するそうです。少子高齢化が同時に進み、人手不足による業務負担が増しています。担い手が足りなければ、いいケアをしたくてもかないません。

 介護はとかくコストばかりに焦点があたりがちです。高齢者や認知症の人がやっかいもの扱いされるのは悲しい。高齢者は昭和の時代から一生懸命、日本を支えて来た人たちです。北欧では高齢者を大事にし、社会的コストを社会でシェアしようと、在宅で暮らす予算のかけ方が手厚く、ケアスタッフの地位も高い。

 「久しぶりにうんちが出て良かったね」と自分のことのように高齢者の排泄(はいせつ)を喜べる。介護の現場はそんなすてきな人たちであふれる貴い職場です。処遇改善には社会全体の理解が欠かせません。介護の地位がもっと上がるような世の中の空気づくりや仕組みづくりを政治に期待したい。

 突然の病気や認知症になり、それまで当たり前だった生活ができなくなる可能性は誰にでもあります。他にも脳梗塞(こうそく)、発達障害、精神疾患や大病を患った人たちも地域に多く暮らしています。地域で人や社会とのつながりを感じながら、自信を取り戻し、自分らしく生きる。そのための居場所や支え合いが必要です。後継者不足で増える遊休農地を活用した「農福」連携の可能性も模索しています。

 高齢者、福祉、介護といった問題に、具体的にどんな課題を設定し、解決を図るのか。候補者や政党の訴えや政策から、「課題設定能力」を見極めたい。そこから、おのずと政治家の思いや価値観が見えてくると思います。(構成 加藤真太郎)

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