「核のごみ」北海道での処分場設置は? 衆院候補道内32人の賛否は

2021衆院選

伊沢健司
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 31日に投開票される衆院選で道内12選挙区に立候補した32人に対し朝日新聞が実施したアンケートでは、「核のごみ」(原発から出る高レベル放射性廃棄物)をめぐる問題についても質問した。原子力政策への見解とともに、最終処分場の「道内での設置の賛否」について聞くと、「反対」が18人、「どちらでもない」が14人、「賛成」がゼロだった。

 朝日新聞は今回の衆院選に合わせて北海道の12選挙区に立候補した32人に政策アンケートを行いました。アンケートは9月下旬から配布し、各質問100字以内で回答してもらいました。100字を超えた回答は要約しました。「核のごみ」以外の回答については別途配信します。

 政党別では、自民の11人中9人が「どちらでもない」、2人が「反対」と回答した。このほか公明1人、維新3人、N党1人も「どちらでもない」と答えた。これに対し、立憲(12人)と共産(3人)の全員、無所属1人が「反対」と答えた。

 「どちらでもない」の理由は「原子力政策推進の是非にかかわらず処分場は必要」「もっと議論が必要」など。「反対」の理由は「国の原子力政策は失敗している」「『受け入れ難い』と宣言した道条例を尊重すべきだ」などだった。

 処分場の選定に向けた全国初の文献調査が進む北海道寿都町と神恵内村を含む道4区では、立憲新顔の大築紅葉氏(38)が「反対」、自民前職の中村裕之氏(60)が「どちらでもない」だった。

 理由について大築氏は「道には核のごみを『受け入れ難い』とする条例があり、巨額の交付金を餌に調査を受け入れさせる制度は問題がある。地震大国の日本に地層処分の適地があるのかも疑わしく、候補地選定の厳しい基準を設けることが先決」と回答した。

 中村氏は「賛否は自治体の自治権に属するので、明らかにする立場にない。当該自治体と知事が反対の決定をした場合、次の段階に入らないことを約束する」と回答した。(他の質問項目も含む各候補のアンケート回答は、26~29日の紙面で紹介します)(伊沢健司)

【連載】「核のごみを問う」(全3回)のページはこちら

 国内の原発が動き始めてから半世紀以上経つなか、人口約2900人の漁業のまちで、初めて動き出した最終処分場の選定プロセス。トップが下した「政治的判断」に、町民の賛否は割れている。今月21日告示、26日投開票の町長選を前に、この1年の「核のごみ」をめぐる議論を3回にわたり追う。

道内12小選挙区候補者の「核のごみ」に関する回答

 届け出順。党派の略称は、自(自民)、立(立憲)、公(公明)、共(共産)、維(維新)、N(N党)。諸は諸派、無は無所属。敬称略

質問文

 「核のごみ」(原発から出る高レベル放射性廃棄物)の最終処分場選定に向けた文献調査が寿都町と神恵内村で進められています。道内の他地域でも最終処分場が設置される可能性があります。道内での設置の賛否(賛成、反対、どちらでもない)を原子力政策への見解も含めてお聞かせください。

1区・小林悟(維新)

どちらでもない。文献調査を否定する事はナンセンスである。科学的見地に基づいて、静かな環境で議論が進められるべきである。今まで原子力エネルギーの恩恵を受けてきたので、どこかに最終処分場をつくるのが政治の責任である。

1区・道下大樹(立前)

反対。国の原子力政策は失敗し、核燃料サイクルも破綻している。北海道における核のごみ最終処分場設置は、農林水産業や観光への影響も大きく、核のごみを受け入れ難いとする道条例の趣旨にも反することから反対だ。

1区・船橋利実(自前)

どちらでもない。近い将来、国内のいずれかの地域に最終処分場設置が必要でその際は国民の理解を得る努力が大切。文献調査はその一つとの認識だ。道議時代、道の関係条例を起案した政策責任者として条例を尊重すべきだと考える。

2区・高橋祐介(自新)

どちらでもない。東電福島第一原発事故への反省を出発点に、国民の不安をしっかりと受け止め、二度と事故を起こさない取り組みを続ける。安全性を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する。

2区・松木謙公(立前)

反対。特定放射性廃棄物は北海道の条例で受け入れ難いとされている。条例は当然順守されるべきだ。また、多額の交付金を示し一自治体の判断だけで処分地決定のプロセスを進める政府のやり方に違和感を覚える。

2区・山崎泉(維新)

どちらでもない。まず最終処分場を設置する最終責任は国にあることを明確にする法制化が必要。町村民と周辺市町村の意思を尊重し、賛成派、反対派など外部勢力に左右されない意思決定をする静謐な環境づくりを進める。

3区・高木宏寿(自元)

どちらでもない。原子力政策推進の是非にかかわらず処分場は必要。最終処分場の選定は避けられない課題であり、道条例との整合性を図る必要がある。

3区・荒井優(立新)

反対。「特定放射性廃棄物の持込みは受け入れ難い」とする約束(条例)を守ることが政治の役割。北海道の潜在力である再生可能エネルギー活用で、お金を還流させる循環型経済を構築、道民の所得向上・経済活性化に繫(つな)げる。

3区・小和田康文(維新)

どちらでもない。どこに立地するかに関わらず、しっかりと議論しなければならない。既設原発は市場原理により将来はフェードアウトしていく。これを見すえて再生可能エネルギー拡大へシフトすべきだ。

4区・大築紅葉(立新)

反対。道には核のごみを「受け入れ難い」とする条例があり、巨額の交付金を餌に調査を受け入れさせる制度は問題がある。地震大国の日本に地層処分の適地があるのかも疑わしく、候補地選定の厳しい基準を設けることが先決。

4区・中村裕之(自前)

どちらでもない。賛否は自治体の自治権に属するので、明らかにする立場にない。当該自治体と知事が反対の決定をした場合、次の段階に入らないことを約束する。

5区・大津伸太郎(無新)

反対。原発再稼働を中止し、すべてを廃炉にする。廃炉作業のみに特化する。カナダ元首相らが関与したとされる「カナダ・日本の核のごみ受け入れ構想」を具体的に進めていく。

5区・和田義明(自前)

反対。現在政府で沖ノ鳥島に最終処分場を設置する案が検討されている。当案は安全の観点と領土保全の観点から好ましい。脱炭素戦略と燃料価格高騰に鑑み、原子力発電は引き続き重要なベースロード電源だ。

5区・橋本美香(共新)

反対。科学的に処分方法が十分確立されておらず、現時点で限りある環境を将来世代に引き継ぐことが困難な状況で「受け入れ難い」と宣言した道条例を尊重すべきだ。原発廃止、核燃料サイクルから撤退し原発ゼロを求める。

5区・池田真紀(立前)

反対。原発も廃棄物処分も、お金と引き換えに地方に設置する国の政策は限界。北海道には「特定放射性廃棄物の持ち込みは受け入れ難い」とする条例があり、これをしっかり守ると同時に原子力政策そのものの転換が不可欠だ。

6区・斉藤忠行(N新)

どちらでもない。

6区・西川将人(立新)

反対。道条例に基づいて、核のごみは持ち込まない原則を堅持すべきだ。原子力発電は順次他の発電源へと移行すべきだ。

6区・東国幹(自新)

反対。北海道条例に反するべきではないと考える。

7区・伊東良孝(自前)

どちらでもない。原子力発電所は厳しい規制の中で稼働が認められている。核廃棄物の処分方法を調査・研究するのは当然だ。ただし道条例では廃棄物の持ち込みを「受け入れがたい」としており、持ち込み前提なら整合性が問われる。

7区・篠田奈保子(立新)

反対。食糧危機に対応するため第1次産業を早急に拡充する必要があり、自然豊かな北海道での滞在型ワーケーションを拡充するためにも、北海道に核のごみ処分場の設置は不適切である。原発に依存しない社会の構築を目指す。

7区・石川明美(共新)

反対。日本国内では、ふさわしい地層はない。そもそも住民合意が一度も行われていない。

8区・逢坂誠二(立前)

反対。核燃料サイクルを進めても使用済みMOX燃料ができるだけでトイレのないマンション状態は解決しない。使用済み核燃料は再処理せず、当面乾式貯蔵を行い、直接処分の道を検討すべきだ。

8区・前田一男(自元)

どちらでもない。現代生活を送るうえで、どこかが負担しなければならない課題であり、もっと議論が必要だ。

9区・山岡達丸(立前)

反対。すでに蓄積している使用済み核燃料の最終処分をどう処理するかは国全体で考えなければならないが、北海道は「核物質を受け入れない」ことが条例で定められており、その条例に基づき、道民としては反対する立場。

9区・堀井学(自前)

どちらでもない。文献調査自体は問題ないと考える。重要なのは地層処分技術の研究開発と考える。

10区・神谷裕(立前)

反対。原子力発電所の新増設は認めない。使用済み核燃料の扱いや立地地域への支援、雇用の公正な移行など、原発のない社会に向けた不可逆的な方針を速やかに確立し、国の監督と責任の下で廃炉を着実に進める。

10区・稲津久(公前)

どちらでもない。既に原発を持つ日本においては、原発への賛成、反対に関わらず、どうやって最終処分場を造っていくのか、道民や国民の意見を聴きながら議論を重ね、結論を出すことが重要だと考える。

11区・石川香織(立前)

反対。道は条例で「特定放射性廃棄物の持ち込みは慎重に対処すべきであり、受け入れ難い」と宣言している。原発に依存せず再生可能エネルギーの普及を加速すべきだ。ポテンシャルが世界3位の地熱を生かした発電を拡大。

11区・中川郁子(自元)

どちらでもない。

12区・川原田英世(立新)

反対。自然環境が豊かで第1次産業の大きな可能性を秘めた道への核のごみ持ち込みは、道産食材の国内・国際的な信頼を損ねかねない。核のごみは日本だけの問題ではなく、国際的な協力のもと解決策を検討する必要がある。

12区・武部新(自前)

どちらでもない。最終処分場の選定は段階的な調査を法令上規定しており、文献調査は最終処分地選定に直結しない。まずは自治体の調査実施の判断を尊重し、調査等の経過を見守るべきであり、賛成・反対を議論する段階にはない。

12区・菅原誠(共新)

反対。技術的に未確立の地層処分はやめ、当面は地上に暫定保管する。安全な処分技術の構築も急ぐ。道の「核抜き条例」の順守、住民の合意抜き、交付金をテコにした手法はやめ、原発は再稼働せず即時廃炉にする。

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