コスト高、天候不順、そしてコロナが翻弄 国は有機酪農に支援を

2021衆院選

聞き手・三上修
[PR]

酪農業 石川賢一さん(51)=北海道津別町

 「明治オーガニック牛乳」用の生乳を生産する北海道津別町の有機酪農研究会の会長をしています。私は妻と2人での家族経営です。2000年に有機酪農の取り組みを始め、国内初の日本農林規格(JAS)の有機認証を受けました。研究会では現在、4戸が乳牛280頭を飼い、生乳を年間約2600トン搾ります。

私の争点@北海道

 1年半以上続くコロナ禍の中で行われている衆院選。有権者は政治に何を思い、どんな政策を望むのか。北海道内各地で聞いた。

 農林水産省は今年5月発表の「みどりの食料システム戦略」で、50年までに耕地面積に占める有機農業の割合を25%(100万ヘクタール)にする目標を掲げました。我々の取り組みにやっと社会が追いついてきたのかな、との思いです。

 ただ、目標達成の方策はまだ確立されていません。有機への転換には手間もコストもかかります。商品に転嫁すると価格は高くなり従来の生産方法のものに太刀打ちできません。2年ほど前から飼料を作る圃場(ほじょう)への助成制度ができましたが、生乳にはありません。コストは消費者が負担するだけでなく、国も補助を進めないと、有機は広がっていきません。

 さらに生産者は近年、天候不順にも翻弄(ほんろう)されています。今夏の干ばつで飼料用トウモロコシは3割の減収で、昨年の余剰分や輸入で埋め合わせています。さらに猛暑で暑い昼間は乳牛を牛舎に入れ、扇風機をフル稼働させました。こんなことが1カ月半も続いたのは初めてです。気候変動への対策として有機農業が有効なはずです。

 新型コロナウイルスの影響もあります。飼料の77%を自給していますが、たんぱく質が多い大豆かすの有機ものは米国などからの輸入で、これが順調に入らなくなりました。飼料供給は綱渡り状態です。

 今年6月には仲間の1戸が後継者難から引退しました。一方、3戸は法人化で効率化やコスト減を目指し、町内最大規模の牧場となりました。いろんな形があって良いと思います。機械化やICT、AIを活用して10年前より少ない労働力で乳牛の数も増やしました。こんな取り組みを支える政治を求めます。(聞き手・三上修)

2021衆院選

2021衆院選

ニュースや連載、候補者の政策への考え方など選挙情報を多角的にお伝えします。[記事一覧へ]