コロナ薬、治験早めれば増える? 「投与は発症2日以内で」 名大
新型コロナウイルス感染症の治療薬を探す際に、より早いタイミングで薬を使っていたら、効果があるとわかった薬はもっと多かったかもしれない――。名古屋大や米インディアナ大などの研究チームは、治験(臨床試験)に思わぬ落とし穴があった可能性を、各国の報告や数理モデルをもとに明らかにした。
新型コロナの治療では、抗体カクテル療法など専用の新薬が登場するまで1年余りかかった。それまでは、エボラ出血熱向けの抗ウイルス薬レムデシビルなど、すでにある、他の感染症向けの薬が、コロナにも有効と治験で認められた場合に使われてきた。
ただ、同じ既存の薬でも、複数の研究機関や別々の国で治験が行われたケースで、有効か否かの結果が食い違う例が相次いだ。
名大の岩見真吾教授(数理科学)らのグループは、治験の進め方に着目。コロナ患者の鼻やのどのウイルス量が長期間調べられた、ドイツなどの計30人の記録をもとに、ウイルス量と薬の効果を推定する数理モデルを独自作製して分析した。
その結果、ウイルス量は発熱などの症状が出てから約2日でピークを迎える一方、ウイルスが減って陰性になるまでの期間は個人差が大きく、1~4週間の幅があることがわかった。
その上で投薬のタイミングと効果も検証。発症から半日後に投薬すれば、ウイルスが減るのが速い人も遅い人も、陰性になるまでの期間をおおむね3~4日早めることができた。
一方、発症5日後の投薬では、既に体内でウイルス量が減り始めていることもあり、陰性になるまでの時間をほとんど縮められない様子がうかがえた。
こうした結果から、コロナの場合、治療薬の投与は発症2日程度までに始めることが望ましく、とりわけ薬の効果をはかる治験では重要だと結論づけた。発症後時間が経ってから投薬した場合、本当は有効な薬でも、ウイルスの自然減少と差が現れず、効果が低く見える恐れがあるという。
実際、チームが昨年5月まで…
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