35年抱いた夢かなえ「連獅子」 77歳の仁左衛門、孫の千之助と

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編集委員・藤谷浩二
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 片岡仁左衛門が11月の東京・歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」で、孫の千之助と「連獅子」を踊る。77歳の喜寿での親獅子は、本興行では最高齢だ。「35年間抱いていた願いがかなった公演です」と仁左衛門は語る。

十七代目勘三郎の親獅子に憧れて

 1986年、歌舞伎座で76歳の十七代目中村勘三郎が「喜寿記念」として長男の勘九郎(十八代目勘三郎)と踊った「連獅子」を見て、憧れた。「もし自分が歌舞伎座で『連獅子』を踊れるような役者になっていたら、頑張ってみたいと思った」

 親獅子は仔獅子を谷底へ蹴落とし、自力ではい上がってくるのを待つ。厳しさと情愛のこもった描写が芸の継承にも重ねられる、歌舞伎舞踊の大曲だ。仁左衛門は90年に大阪中座で長男の孝太郎と初演。幼いころに「オーパ(仁左衛門)と『連獅子』を踊りたい」と手紙をくれた千之助とは、2011年に東京・新橋演舞場で初めて踊った。千之助は11歳、小学校6年生だった。14年には歌舞伎座で再び、14歳の千之助と共演した。

 今回、千之助は21歳になる。「成人していますし、しっかりと踊ってもらわないと。あどけない仔獅子を表さなければいけない芸の難しさが加わった。どう克服してくれるか、期待しています」と仁左衛門は語る。

 親獅子としてめざすのは、35年前の十七代目勘三郎が放っていた雰囲気だ。「私もこの年ですから昔のようには動けない。ただ、後ジテ(の親獅子の精)でも仔と同じように動く必要はない。中村屋のおじさんにはゆったりとした親獅子の貫禄がありました。あのような、劇場を包み込むような雰囲気をつくれる役者になりたいと思いましたね」

 今回の「連獅子」への思いと、坂東玉三郎とのコンビで往年の名作を次々と上演して人気を呼んだ今年の活躍について、仁左衛門に聞いた。

インタビューの中盤では、「連獅子」を通して千之助さんに伝えたいことや、どのような舞台をめざすかについてうかがいました。後半では、今年、坂東玉三郎さんとのコンビで大評判となった「桜姫東文章」や芸への思いについて、仁左衛門さんが語ります。

 ――ずっと心の中で温めていた「連獅子」ですね。

 これは余談ですけど、今回「連獅子」をやることは、正式に決まるまで家内には内緒だったんです。止められるから。昔から私が口癖のように「喜寿になったらやるんだ」と言うたびに、「絶対ダメよ」と反対されていました。私の体力的にね。発表になるときに初めて知ったので、えらい怒られました(笑)。

仔獅子の千之助に伝えたいこと

 ――今回の「連獅子」では、千之助さんに何を一番伝えたいですか。

 踊りの、物語の、根本的な心…

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