「ながら運転絶対にやめて」ポケモンGO死亡事故から5年、遺族訴え

大野晴香、志村英司
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 愛知県一宮市スマートフォンゲーム「ポケモンGO」をしながら運転していた男のトラックに小学生がはねられて亡くなった事故は、26日で5年を迎えた。スマホなどの「ながら運転」による死亡事故は後を絶たない。遺族や警察官らは事故現場の近くに立って安全運転を呼びかけた。

 亡くなったのは、当時小学4年生だった則竹敬太君(当時9)。下校中に信号のない横断歩道を渡っていたところでトラックにはねられた。トラックを運転していた男は自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)罪で禁錮3年の実刑判決を受け、確定した。

 父親の崇智さん(51)は事故後、各地で講演を重ねて「ながら運転」の危険性を訴えてきた。国は2019年、道路交通法を改正し、運転中の携帯電話の使用が厳罰化された。

「こんなに苦しい思いをする家族を絶対に増やしたくない」

 崇智さんは26日、一宮署が用意したセットの前でビデオカメラに向かい、自身の体験を語った。

 次男の敬太君が車にはねられるのを目撃した2学年上の長男は当日、車にひかれてひしゃげた、敬太君の水筒について「父ちゃん、敬太の水筒が壊れちゃった。元に戻してやらないと使えないよ」と言いながら病院で一生懸命直そうとしていたという。

 家族から事故の知らせを受け、崇智さんが病院に駆けつけた1時間半後、敬太君は亡くなった。病院から帰る途中、車の中で長男が「敬太はなんでも一番乗りが好きだから、天国まで一番乗りしちゃったんだね」とつぶやいた言葉が忘れられないという。

 今でも悲しみは毎日波のように押し寄せるといい、「こんなに苦しい思いをする家族を絶対に増やしたくない」。最後にひときわ大きな声で「絶対にながらスマホ運転はやめてください。お願いします」と訴えた。

 動画は県警の公式ツイッターやユーチューブで配信する予定という。一宮署の野田憲司交通課長は「携帯電話をしながら、あるいは画面を見ながら運転することは道路交通法違反。今後も継続して違反の取り締まりを強化していく」と話した。

 県警によると、「ながら運転」の検挙件数は愛知県が全国最多。19年が5万9373件、20年は3万526件で、いずれもワースト2位とは1万~2万件の差がある。今年も9月末時点で2万2553件とワーストが続く。県内で起きた事故は11年から今年9月末までに344件で、うち死亡事故は8件だった。県警交通総務課の担当者は「自分だけは大丈夫という自信があるからなのか。車の運転という重大なことをしていると認識してほしい」と呼びかける。(大野晴香、志村英司)