砂浜走って波に乗る、ボートの新種目に脚光 ロス五輪での採用も視野
白い砂浜を疾走し、青い海にこぎ出す――。海辺で繰り広げられるボートの新種目が、注目を集めつつある。その名は「コースタルローイング」。知名度はまだまだだが、2028年米ロサンゼルス・オリンピック(五輪)で採用される見通しで、日本にも有力選手がいる。人気と成績が低迷するボート競技の起爆剤となるか。(荻原千明)
2人の選手が、数十メートル先の浜辺に浮かぶそれぞれのボートに向かって砂浜をダッシュする。波で揺れるボートに乗り込むのに手間取る選手たち。ボートを押さえている仲間が「落ち着いて!」と声をかけ、選手がシートに腰を下ろしてオールを握るやいなや、大海原に押し出した――。
愛知県蒲郡市で16日に開かれたコースタルローイングのビーチスプリント国内大会。1人乗りや2人乗りで、250メートル沖までに三つ並ぶブイを左右にスラロームして戻ってくる。
ボートは波立つ海を後ろ向きに進むため、浜辺で待機する仲間が体全体を使って進む方向を指示しながら「バウサイ(左手をもっと回して)」などと叫ぶ。
今回は新型コロナの影響で無観客開催だったが、砂浜では他選手やスタッフがボートの動きに沸く。これまでのボート競技は穏やかな川面を走るのが常。この競技は波に流される。
「どこに行くの?」と笑いが起き、最短距離でブイを攻めると「うまい」と歓声が上がる。浜辺に戻ると、仲間やスタッフが拍手を送る目の前で砂に刺さったフラッグに飛び込み、ゴールとなる。戦いを終えた2人は抱き合いたたえ合った。
こぐ力だけでなく 波や風とも勝負
この日、2部門を制した澤田…
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