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がんの転移を促すたんぱく質、コロナも重症化させる? 薬も開発中

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編集委員・田村建二
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 がん細胞の肺への転移を誘引している物質が、新型コロナウイルス感染症での肺炎の重症化にもかかわっているとする研究結果を、東京女子医科大の丸義朗(よしろう)学長らのチームがまとめた。肺がんの転移を防ぐために開発中の薬が、新型コロナの重症化予防にも使える可能性があるという。

 この物質は「S100A8」と呼ばれるたんぱく質で、主に肺でつくられ、がんの肺への転移を促すとされてきた。

 大腸がん乳がんなど、もとの場所にあるがんから特殊な信号物質が出ていて、信号が肺に届くと、このたんぱく質がつくられる。すると、このたんぱく質の作用で、まるで畑を耕すように、もとの場所を離れたがん細胞が根付きやすくなるよう、肺の状態を変化させるという。

 このたんぱく質が、新型コロナが重症化した患者の肺でも増えていることが海外の研究者から報告されていた。そこで、丸さんたちはマウスの肺にこのたんぱく質を注入し、肺の細胞で何が起きているかを調べた。

 すると、肺の血管に異常が起きてガス交換がうまくできなくなり、重い肺炎と同じような状態になった。このたんぱく質によって骨髄から導き出された免疫細胞が、こうした状態を招いているらしい。

 骨髄から来た免疫細胞には、外敵をやっつける力を弱める作用のある細胞も含まれていて、新型コロナへの抵抗力を下げていることも考えられるという。

 新型コロナの重症化には数多…

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