「もの」に宿る霊力、万葉びとの世界 国文学者・中西進さんに聞く

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聞き手・上原佳久
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 いまから1300年ほど前に編まれた万葉集。当時の人びとの喜怒哀楽を写し取ったことばは、いまを生きる私たちへの「贈りもの」でもあります。国文学者の中西進さん(92)に、万葉のことばを手がかりにして、広く日本文化の基層にあるものを語ってもらいました。

万葉の時代、「もの」ということばには、いまよりも広く深い意味が込められていたようです。海のかなたとのつながりも想像させる、その意味とは。

 「ものものしいね」

 「そういうものだよ。ものがものだけにね」

 私たちはふだん、こんな風に「もの」ということばをよく使っています。物体を指すこともあれば、もっと漠然とした何かを指すことも。あまり意識せずに使われていて、気にも留められていないことばかもしれません。

 でも、「もの」ははるかな昔から日本の文化の基層にあり、それを特徴づけているものだと、私は考えています。

 万葉集には、「もの」を「鬼…

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