「最後のひと呼吸まで」貫いた核廃絶の訴え 被爆者の坪井直さん死去

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 被爆者運動を率いてきた被爆者の坪井直(すなお)さんが24日、96歳で亡くなった。広島に投下された原爆で大やけどを負って生死をさまよい、「ネバーギブアップ」を口癖に、核兵器廃絶を訴えてきた。国内外で活動を共にし、思いを引き継ぐ人たちはたゆまぬ取り組みを誓った。

口癖は「ネバーギブアップ」 世界で証言、オバマ氏とも対面

 「核兵器は、なかなかなくなりません。それでも、あきらめちゃぁいけない。ネバーギブアップです」

 坪井さんは、会合でのあいさつや、広島に修学旅行に訪れた児童・生徒たちに被爆体験を語る時には必ず、この言葉で締めくくった。90歳を超えても、炎天下の平和記念公園で署名を呼びかけ、核実験に抗議して座り込みをした。杖をつきながら表舞台に立ち続けたその背中で、被爆者運動を率いてきた。最近は体調不良で、公の場には姿を見せていなかったという。

 二十歳の時、広島に投下され…

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    後藤洋平
    (朝日新聞編集委員=文化、ファッション)
    2021年10月28日11時18分 投稿
    【視点】

     10年前に広島総局に赴任し、原爆・平和担当のキャップを2年半務めました。大阪から引っ越しを終え、一番最初にあいさつに向かったのが坪井さんでした。原爆のことについて無知だった記者に対しても、常に明るく、冗談を交えてお話をしてくださいました。

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