障がい者の働く場確保、まずは実情理解を 制度設計が実態に合わず

2021衆院選

聞き手・奈良山雅俊
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地域食堂運営 渡辺由起子さん(66)=北海道中頓別町

 北海道中頓別町で営んできた銭湯「黄金湯(こがねゆ)」を10日で閉じました。廃業した町営公衆浴場を復活して10年。町の補助金などもありましたが、設備の老朽化などで個人による維持管理が難しくなり、区切りを付けました。

私の争点@北海道

 1年半以上続くコロナ禍の中で行われている衆院選。有権者は政治に何を思い、どんな政策を望むのか。北海道内各地で聞いた。

 「なぜここで銭湯?」とよく聞かれました。道央で保健師や看護師をしていた時、障がい者の働く場づくりに興味を持ち、専門家の講演を聴きにこの町を訪ねました。そこで町民の関心の高さと同時に、町有物件の黄金湯の売却話に魅せられました。頭に浮かんだのが、障がい者と目指す「銭湯を核にした健康増進の町づくり」でした。

 町に移住し、2011年10月10日に銭湯を復活させました。清掃業務は2人の障がい者に担ってもらいました。灯油ボイラーを薪ボイラーへ転換し、施設内に地域食堂も開きました。やりたかったことをしていくうちに人が人を呼び、町民の新たな「交流の場」となりました。

 町ではこの銭湯を引き継ごうという動きもあります。1600人余りの町ですごいことだと思います。地方の過疎地だって侮ってはいけません。私も地域食堂は続けます。

 ただ、残念ながら障がい者を雇い続けることはできなくなりました。障がい者雇用(就労)の難しさは、地域の実態に合わない制度設計に原因があるように思います。

 政治に多くは期待していませんが、「寄り添う政治」というなら、まず地域の実情を理解し、誰もが使える制度にしなくては。働く場でなくても、障がい者には気軽に入浴に来てほしい。黄金湯はそんな「交流の場」であり続けます。(聞き手・奈良山雅俊)

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