介護や障害福祉、保育などの現場のエッセンシャルワーカーたちは、コロナ禍でも人々の生活を支えるために働いてきた。衆院選では各党が介護職などの賃上げを公約に掲げたが、訪問介護事業所を運営し、自身も障害があり、サービスを使う当事者でもある吉田真一さん(47)は「政治は介護の持続可能性に向き合っているか」と問いかける。(畑山敦子)
「いってらっしゃい!」。東京都新宿区で訪問介護事業を運営する株式会社「でぃぐにてぃ」社長の吉田真一さん(47)は、訪問に向かうヘルパーの桜井さん(24)たちに声をかける。ヘルパーたちは1日に5、6カ所を回り、代わる代わる事業所を出入りする。
コロナで訪問介護事業所が閉鎖 追われる対応
事業所に入って3年目の桜井さんに昨年9月、試練が訪れた。社内で新型コロナ陽性者が出たため、事業所は2週間休止になった。桜井さんは代わりの事業者を探し、利用者やケアマネ、保健所からの対応に追われた。苦情も覚悟したが、週5日、入浴介助で通う70代の男性からは「ちゃんと説明してくれて安心した。再開を待っています」と声をかけられた。「生活を支えている仕事なんだ」。桜井さんは改めて実感した。
今も利用者の自宅前に着くと…