何でもすらすら答える福岡伸一さんがかく冷や汗 ノーベル賞と舞台裏

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 生物学者の福岡伸一さんには、毎年、ノーベル賞が発表される日に待機してもらっています。受賞者が発表されるとその業績についてわかりやすく解説。記事は翌朝の紙面やデジタル版ですばやく掲載しています。

 完成した記事を読む限り、理系の賞ならどの賞でも、誰が受賞しようとも、何でもすらすらと話しているように見える福岡さん。その舞台裏ではいったい何が起きていたでしょうか。福岡さんのエッセーです。

 研究を真面目に地道に続けていたらひょっとすると貰(もら)う側になれたかもしれないが、なまじ作家業に身をやつした結果、すっかり解説する側に回ってしまった。ノーベル賞のことである。今年も早くからネット中継画面にかじりついていた。その日はノーベル化学賞の日。このところ化学賞は、範囲が広がり、予想がたいへん難しい。そこで、今回はちょっとした裏話を。前々日の医学生理学賞では、RNAワクチンの開発者、カタリン・カリコ氏の前評判が高かった。が結果は違った。選考委員会は慎重なので、評価が定まるまで待つつもりだと私は解説した。なのに、もし化学賞がカリコになったら、前言を取り消さなければならない。冷や汗もので発表を待った。しずしずと選考委員たちが会場に入ってきた。その瞬間、私は安堵(あんど)した。カリコではない。今回は本流の有機化学が対象だ。案の定、発表は、有機触媒を発見した二人の欧米人化学者だった。なぜ発表直前にそれがわかったのか。選考委員の中に有機化学の専門家がいたからである。とはいえ、たった30秒先行しただけの話。

 もうひとつ、発表の直前、1…

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