夢も恋も止まったまま 訪日できぬ留学生ら「どれだけ日本愛しても」

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ニューヨーク=藤原学思
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 川崎のマンションに帰って、青色のソファに座り、飼い猫のクルミを思い切り、抱きしめたい。

 バレリー・ニールさん(23)は、日本を「ホーム」だと感じている。「日本が私を大人にしてくれた」。いまは米西部カリフォルニア州に住むが、日本時間で生活する。

 10代後半から4月まで5年間、日本に根を張った。だが、新型コロナウイルスの影響で大学院に進学するためのビザが出ず、日本に入国ができないでいる。

 「コロナ対応は難しい。それはわかっている。政府にもたくさん負荷がかかっている。でも、留学生を日本社会の一員として認めてほしい、受け入れてほしいと願っています」

 5歳から空手を習い、センセイの話す日本語の響きが気に入った。10代になり、日本のアニメやポップソングに触れる。自宅のリビングで「日本に行きたい」と両親に告げたのは、14歳の頃だった。

 16歳、気持ちを確かめるために父親と初めて日本を訪れる。行き先は東京と奈良。ユーチューブで見た通りの街並み、寺院に感動した。高校時代は夜中まで、日本語の単語帳と向き合った。「いつかきっと、翻訳家に」。夢は固まった。

 1年飛び級して、17歳で高校を卒業。両親の許しを得るまで1年待って、2016年、18歳で日本での暮らしを始めた。2年半ほどテンプル大学で日本語の勉強とアジア研究に時間を捧げ、学位を得た。

 英語講師の職を得て、学生ビザは就労ビザに切り替わった。昨年3月、川崎で新しくマンションを借りる。4月にはごみ収集所の横に捨てられていた猫を拾い、一緒に住み始めた。「クルミ」と名付けた。

 新型コロナウイルスの波にも耐え、今年3月、家により近い職場に移った。だが、試用期間中に突然、解雇を言い渡された。就労ビザは切れる直前で、新たな職も急には見つからず、米国に戻ることにした。

 「すぐに日本に帰れるはず」。そう信じていた。7万5千円の家賃は4カ月分を前払いし、4月下旬、家具もそのままに日本を離れた。飼い猫は知人を頼って預けた。

 さらにキャリアを積むため…

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