衆院選への立候補かなわなかった私 政治と生活の両立 遠い多様性

有料記事2021衆院選

杉山あかり
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 今回の衆院選への立候補をいったん決めながら、かなわなかった女性がいる。岐阜県高山市の社会活動家神田沙織さん(36)は2019年12月、立憲民主党から福岡5区の公認予定候補者として擁立された。だが半年後、「一身上の都合」で辞退。家庭と政治の両立を諦めざるを得なかった背景に何があったのか。

 神田さんが、政治に興味を持ったのは子育てがきっかけだった。16年に東京で息子を出産。待機児童など子育てをめぐる問題に直面した。夫とコンサルティング会社を経営する自営業で、保育園に入園させづらいなど制度の恩恵を受けられる「普通の」正社員とは違う立場を痛感していた。

 転機は19年夏。子連れで電車に乗りやすい「子育て応援車両」の設置を都内で実現させたことだった。ベビーカーで通勤時の満員電車に乗り、肩身の狭い思いをした。そんな経験から、市民団体をつくり都知事に要望書を提出した。

「社会活動しながら生計立てられる」のが政治家

 やりがいを感じたが、仕事を犠牲にして社会活動をしても賃金は得られない。「社会活動しながら生計が立てられる」。政治家に興味を持つようになったのはそんな理由からだった。

 応援車両を実現する過程で都議と交流が生まれた。地方選に立候補したママ友など政治に関わる女性が身近にいた。被選挙権が25歳からあることにも気づいた。「条件を満たせば誰でも政治家に立候補できるならやってみようかな」

 19年秋から政治塾に通うと、立憲から国政挑戦の話を持ちかけられた。仕事から手を引き、政治活動に専念することを決心。立憲からの候補者がおらず、県連内で女性議員のサポート態勢が整っていた福岡5区での擁立が決まった。

「わざわざ家族にやって欲しくはない」 戸惑う夫の実家を説得

 夫の実家は、政治家に女性が少ない現状を変える必要性は分かってくれたが、「わざわざ家族にやって欲しくはない」と戸惑いを見せた。それでも話し合いを重ねて説得した。

 息子は東京で夫と生活し、互…

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