25年ぶりV 苦難の道のりにオリックスファンは人生を重ねる

甲斐江里子、市原研吾、安井健悟
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 プロ野球オリックスが25年ぶりのリーグ優勝を決めた。12球団で最もリーグ優勝から遠ざかっていた。関西でも阪神ほどの人気はないが、ファンたちにはこのチームを愛さずにいられないわけがある。

 ロッテが負ければオリックスの優勝が決まる27日夜。オリックスの本拠地、京セラドーム大阪大阪市西区)には、球場外でファンら約100人が集まった。楽天―ロッテの試合をタブレット端末などで見守り、優勝が決まるとガッツポーズをしたり跳び上がったりして喜び合った。

 会社帰りに駆けつけた大阪府八尾市の稲岡健治さん(57)は「やはり少しでも選手のそばにいたくて」。前日にはセ・リーグで昨年、一昨年と最下位だったヤクルトが優勝。オリックスも2年連続の最下位と苦しんだだけに、期待が高まっていた。「最後までしびれる展開、よくやってくれた」と目を潤ませた。

 大阪市西区の大学生、知念一輝さん(20)は子どものころからのファン。「オリックスファンは少なくて肩身の狭い思いをしてきた。これから肩で風を切って歩けます」と笑った。

 同府東大阪市の秋田由裕津貴(ゆづき)さん(23)は、オリックスの魅力は「弱いところ」だと思う。「何をやってもうまくいかない感じが人生と重なった」。優勝が決まると「今までのチームの苦労も自分の苦労も報われた感じ。生きていてよかった。今日は眠れない」と話した。阪神ファンの一部は優勝した時に道頓堀川へ飛び込んだが、「僕は川を掃除しにいこうかな」。

 大阪市北区韓国料理店「紅紅(べにべに)」でも、ファン約40人が歓喜の瞬間を分かち合った。

 40年来のファンという神戸市西区の藤野聖子さん(54)は、前回優勝時は球場で観戦したという。「ここまで本当に長かった。欲を言えば胴上げを生で見たかったけど、優勝してくれたので満足です」

 店を経営するのは、在日コリアン3世の李賢一(イヒョニル)さん(59)。2011年に韓国人スター選手2人の入団を機にオリックスファンになり、京セラドーム大阪の年間シートを購入。ホームで勝った時に選手に贈られる「ヒーロー賞」のスポンサーになり、選手やファンが来店するようになった。

 チームは低迷が続いたが「ひたむきに頑張る選手の姿が、先が見えないなか小さな会社を続けてきた自分に重なった」と言う。

 今年は新型コロナの影響で4月から約半年間、夜の営業を休んだ。売り上げは4分の1に減り、毎月20万円ほどの赤字が出た。「経営も厳しくなったけど、ファンに来てもらえないのが何よりつらかった」と李さん。「コロナで暗い雰囲気が続く中、久しぶりの明るいニュースでうれしい。今日からまた頑張っていきます」と喜んだ。(甲斐江里子、市原研吾、安井健悟)