米国務省は27日、性別欄にM(男)でもF(女)でもなく、「X」と記されたパスポートを初めて発給したと発表した。同省のプライス報道官は「性的マイノリティーを含む全ての人びとの自由、尊厳、平等を促進するという国務省の決意を改めて表明したい」と述べた。
性的マイノリティー擁護団体「ラムダリーガル」によると、対象者はコロラド州に住む元米兵のダナ・ジムさん。男女両方の身体的特徴を持つ「インターセックス」(性分化疾患)かつ、性自認も男女の枠組みに当てはまらない「ノンバイナリー」という。
出生証明書の性別欄も「不明」だったジムさんは両親から男として育てられ、手術も受けたが、効果がなかった。過去には性別欄の記載をめぐってパスポートの申請を却下されたことがあり、インターセックス擁護団体幹部として国際会議に出席できないといった不都合もあった。
ジムさんは「封筒を開けて、性の下に『X』と記された新しいパスポートを見て、涙が出そうになりました」とコメントを公表。2015年には国務省を相手に訴訟を起こし、控訴裁では勝利を得ていた。
「6年かかったが、正確なパスポートを手にすることができた。男か女かと、どちらかの自認を強いるものではなく、私はどちらでもないと認めてくれるものだ。解放された気分だ」
ラムダリーガルの担当者、ポ…
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【視点】ダナ・ジムさんは元米兵とのこと。「男らしさ」が求められる米軍において、ダナさんのように男女の枠組みに当てはまらない性的アイデンティティーを持つ人々は、さまざまに差別されてきた。長らく軍隊では同性愛が認められず、ゲイであることを公言したら除名
【視点】インドのオンラインビザ申請の性別の欄には「男性、女性、トランスジェンダー」という3つの選択肢があります。2016年に出張した際に気づいて、感心したのを覚えています。 今回、米国がパスポートに「X」を追加したことは、性自認や性的指向の多様性