読書週間(27日~11月9日)が始まり、「読書の秋」が深まりゆく。本の魅力を少しでも多くの読者に伝えようと、デジタル技術を使ったユニークな取り組みが続々と生まれている。(赤田康和、川村貴大)
バーチャルリアリティー(VR=仮想現実)技術を使ったゴーグルを目にあてると、上下左右すべての壁を約1千冊の表紙が埋め尽くす。本を選べば表紙が大きくなり、概要や読者の感想も読める――。
ITベンチャーX(エックス)が開発したオンライン書店だ。めざすのは予期せぬ本との出会い。棚に並ぶ多数の本を一覧できるリアル書店の長所を再現した。購入すると自宅に実際に本が届く。
品ぞろえは10万冊をめざしている。来年にはアプリを配信し、VRゴーグルを持つ消費者が自宅で使えるようにする計画だ。年内には街の書店と協業し、来店者にゴーグルを使ってもらう。店にとっては点数が限られる店頭在庫を補える意味がある。売り上げは書店に渡し、書店から初期費用15万円と月1万円の利用料を受け取る。X社の技術者で創業メンバーの一人、及川航太さん(24)は「大型書店を歩き回り本に出会える喜びを疑似体験してほしい」と話す。
「耳をすませば」の主人公のように
オンライン書店にマッチング(出会いの支援)の機能を加える珍しい試みもある。「チャプターズブックストア(Chapters bookstore)」という会員制サービスだ。
「海外ひとり旅」など月ごと…