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子宮移植、国内実施へ踏み出すも課題多く 海外の状況や支援体制は

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神宮司実玲、後藤一也
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 子宮がない女性の出産を可能にするための子宮移植が、実施に向けて一歩を踏み出した。日本医学会の検討委員会が7月、臨床研究の実施を容認する考えをまとめた。技術面や倫理面の課題は何か。海外での実施状況はどうなっているのか。(神宮司実玲、後藤一也)

 子宮がない女性は、子宮筋腫やがんで子宮を摘出した人も含め、国内に20~30代で推計5万~6万人いる。

 子宮移植は、現状では健康な人からの生体移植となる。生体移植は腎臓や肝臓でも行われているが、生命維持にかかわるこれらの臓器と異なり、子宮移植は妊娠・出産が目的となるため、慎重論が根強くある。

 技術的にも簡単ではない。検討委の報告書によると、子宮の血流を維持したまま慎重に摘出する必要があるため、子宮を摘出する人(ドナー)から子宮摘出する手術には平均8時間42分かかる。移植を受ける人(レシピエント)の手術も平均5時間45分かかるという。

 レシピエントに月経があることを確認したうえで、あらかじめ凍結保存していた受精卵を子宮に戻すが、拒絶反応を抑えるため、免疫抑制剤を使い続けなければならない。このため、出産が終われば、子宮を摘出する。

 報告書では、脳死の人からの臓器提供が移植医療の基本だと指摘した。だが、臓器移植法はいまのところ、脳死の人からの子宮提供を認めていない。

 ただ、仮に脳死の人からの子宮の提供が認められたとしても、国内ではそもそも脳死のドナーは限られ、心臓などの提供を待っている患者が多くいるのが現状だ。子宮提供のドナーと想定される20~50代女性となると、さらに数は限られてくる。このため、症例数を少数に限り、生体移植を認めた。

 出産までは2千万円かかるとされ、費用面の課題も残る。

 今回、検討委はレシピエントの条件を、生まれつき子宮がない「ロキタンスキー症候群」や、がん治療によって子宮を摘出した女性で、移植で出産できる可能性が高いおおむね40歳以下と定めた。

 現時点で、子宮移植を臨床研究として実施する計画を公表しているのは、慶応大のグループ。ロキタンスキー症候群の女性らが対象だ。ほかに、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院などのグループが検討している。

 報告書によると、研究を始める医療機関は、施設内の倫理委員会での審査に加え、日本産科婦人科学会日本移植学会が合同で設置する委員会での審査を受ける。研究を始めた後も、定期的に経過を合同の委員会に報告し、チェックを受ける必要がある。

■16カ国で実施…

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